美術館

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

 美術館という建物がいつ頃からあるのか、世界で初めての美術館はどこなのだろうと考えると、あまりはっきりとはしない気がします。いろいろなものを展示する博物館の中で、特に美術品の展示に特化したものが美術館といえるのでしょうが、そう考えると世界最大のコレクションを誇る、18世紀末に開館したルーブル美術館がその起源になりましょうか。あるいは考古学的作品も数多く所蔵している大英博物館になるのでしょうか。(こちらは、ルーブルより30年余り前に開館していますけれど。)
 一般の美術館では、そのコレクションの多くを常設としているところもありますが、一定の期間を区切って、あるひとつのテーマで開催されるケースが多いと思います。ある特別な作家のための美術館というのもありますが、多くは所蔵しているものを常設ではなく、ある時期限定でいくつかを公開していくというケースが多いでしょう。
 東京上野の国立西洋美術館(ル・コルビジェの設計によるもので、世界遺産に登録されましたね。)などでは常設展があり、モネの大きな睡蓮の絵もいつも見ることができます。余談ですが、筆者は、ラ・トゥール作の聖トマスが大好きです。これを見るために行くことがあります。閑話休題。
 美術館の設計では、その所蔵品、展示物をいかに様々な自然の負荷から守るのかということが重要になります。気温、湿度、太陽光による紫外線の影響などなど、解決しなくてはならない問題が多くあります。空調機による空気環境の制御、太陽光を避けて人工照明による展示といった最新技術を使って作り上げていくことになります。まれに、安藤忠雄さんの設計になる光の美術館のような自然光だけというものもありますがね。
 空間的には、ある種非日常の体験という感覚も大事にしなければなりません。その美術館独特の空間構成によって、日常の生活とは違った時間を過ごすことができるということも大事な要素になります。そういった意味では、美術館という建物はそれ自体が美術品ということもできるわけです。