擁壁のある土地を買う際の注意点

ユーザー 建築家紹介センター 仲里 実 の写真

 

擁壁のある土地を買う際には不適格擁壁に注意

 
土地探しをしていると敷地内に擁壁がある土地が売られていることがあります。
擁壁のある土地を買う際には不適格擁壁に注意して欲しいのでまとめてみました。
土地探し中の方、擁壁のある土地を買おうとしている方はぜひ読んでみてください。 
 

不適格擁壁とは

 
建築基準法には高さが2mを超える擁壁を作る際には確認申請を出すことが義務付けられています。 
不適格擁壁というのは、建築基準法が施行される前に作られた、何らかの事情で確認申請が出されていない、確認申請を出したのだが検査済証など証明する書類がないような擁壁のことです。 
現在の法律に適合していないので不適格擁壁と呼ばれます。
 
一般的には古い石積みの擁壁やブロッグ造の擁壁などが該当するのですが、見た目はまだ新しいコンクリートの頑丈そうな擁壁なのに検査済証などが存在しないので不適格擁壁になってしまうこともあります。 

擁壁について、不動産屋さんに聞くとたいていこう言われます。
「この擁壁は頑丈に作っているので大丈夫です」
「あと数十年は十分もちます。」
たいていは土地を売るためのセールストークでなんの根拠もありません。
 
売主が検査済証などを持っていない場合でも役所などで調べてもらうと過去の確認申請書が出てきて適格擁壁と認められることもあります。 
とにかく、根拠となる書類を確認することが大切です。
 

不適格擁壁の問題点

 
不適格擁壁の場合、基準などが現在の法律に合致していないので自然の崖と同じようにみなされます。 
その場合、地方によって違うのですが崖条例という法律が適用される場合があります。 
崖条例についてはこちらのページで解説しましたのでご覧ください。 
 
がけ条例が適用されると、 
・擁壁を新しく作りなおしなさい 
・自然のがけとみなして家を建てる場合はがけから崖の高さの○倍を離しなさい 
ということになる可能性があります。 
 
実際には都市部では崖の高さの○倍離すとほどの余裕はない敷地が多いです。 
擁壁を作り直す事になり擁壁工事に数百万円かかってしまう・・などの結果になってしまいます 
 

擁壁のある土地を買う際の注意点

 
擁壁のある土地を買う際には下記のような手順でチェックすることをオススメします。 
 
1、売主、不動産業者に擁壁の確認申請書・検査済み証があるか確認する 
2、建築家などに上記の書類を見てもらって、役所などで不適格擁壁でないか調べてもらう。
3、適格擁壁の場合は問題ありません。 
4、不適格擁壁であることがわかった場合は買うことをやめるか、擁壁を作り直す前提で土地の価格を値引きしてもらうなどの交渉をして納得した上で買ってください。
 
擁壁のある土地を買う場合はぜひ、その擁壁が不適格擁壁でないかを調べてから買うようにしてください。