S-0549、在来工法と金物工法について(福島県)

S-0549、在来工法と金物工法について(福島県)

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現住所‐都道府県: 
福島県
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福島市
ご相談の内容: 

新築を計画中です。
建物の設計(一般的な二階建てです)は許容応力度法にて実施する予定ですが、在来工法と金物工法とで建築時の施工費用が変わると言われました。
在来工法の方が安価に建築できるらしいのですが、接合部を考慮すると金物工法の方が素人の感覚的ですが安心感はあります。
また、許容応力度法による構造計算を行う為、どちらの工法でも耐震等級3は確保できると思いますが、工法の違いによるメリデリ、耐久性や維持管理も含めどちらの工法がより良いのでしょうか?
 





コメント

ユーザー オフィス・アースワークス一級建築士事務所 小松原敬 の写真
オフィス・アースワークス一級建...

横浜の設計事務所です。
私は基本的には金物工法を使っています。
金物工法と言ってもジョイント部に金物ジョイントを使うだけなので、構造的には在来工法と同じです(SE工法のように独自工法になるものも一部存在します)
ここでは在来工法で金物ジョイントを使うものとして解説します。

メリット
・構造強度は筋交や構造用合板の数次第なので一般的な在来工法と同じだが、在来工法の計算にはカウントされない接合強度がかなり有るので余力がさらにあると考えられる。(通常の在来工法では接合強度はゼロとしてカウント)
・プレカット段階で金物はセットされてくるので、組み上がってから必要箇所(結構多い)に大工工事で必要な種類の補強金物を入れる通常在来より施工ミスが少ない。
・ジョイント金物は厚い金属板でメッキ加工もされており、木の中に埋め込まれるので腐食の心配がない。(雨漏りが発生した場合は木材が先にやられる)
・通し柱での段面欠損がないので構造的弱点を防ぐ事ができる。

デメリット
・構造体の金額が高くなる。ただ実際には金物の金額はさほどではなく入れるのに必要な壁量計算が含まれるだけなのでトータルではさほど変わらないのだが、オプション扱いで高く提示される事が多い。
・一般的には柱や梁を集成材で指定される事が多い。ただこれも、無垢材でOKな金物メーカーがあるので工務店の見識に左右される。柱は特に最近ホワイトウッド集成という安価な集成材が使われる事が多く、実際には杉の無垢材の方が良いのだが金物を理由にそれを使われてしまう。

こんな所が私の感想です。





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降幡建築設計事務所名古屋分室 川辺昌弘

がんちゃん様
降幡建築設計事務所名古屋分室川辺昌弘と申します。
私達の事務所の事務所では全国で在来工法、伝統工法及び古民家再生工事を主に行っています。多くのリノベーションを経験しています。

最初に結論言いますと在来工法が良いです。

構造上、金物工法は柱、梁等は集成材になるので普通の大工さんの手刻みは無理です。
また将来の増改築は大変です。
現在の在来工法では必要な部分はボルト等で補強していますので金物工法より
弱いと言う事はありません。
現在無垢の木材価格は安くなってますので構造材の柱、梁等の材寸を大きくすることを
お勧めです。ご依頼を検討している工務店が集成材を使わないのであれば可能です。
今まで経験のない集成材の柱、梁等を仕入れると割高になるので施工費用が変わると言うことだと思います。
構造材の寸法は同じ大きさ場合集成材の方が強いですが、無垢材で材寸を大きくして同じ強度を得たほうが価格は安いです。
耐久性は金物工法は歴史がないので分かりませんが接合部分の金物の錆やボルトの緩み等は構造に影響します。
維持管理は金物の緩み、隙間を見つけることは困難です。また金物の取り替えも出来ません。在来工法であれば木材の多少の収縮や捻れ等は起ることを前提にして施工しています。
将来の増改築も行い易いです。

在来工法の木造住宅の柔らかさ、木の経年に依る味わいを楽しんでください。

降幡建築設計事務所名古屋分室
代表 川辺昌弘
愛知県名古屋市守山区喜多山2-12-16
tel:052-795-5966
email:mkawabe@star.odn.ne.jp
http:www.furihata-k-nagoya.com





ユーザー がんちゃん の写真
がんちゃん

ご回答ありがとうございました。
大変参考になります。

追加の質問になりますが、
設計条件を「耐震等級3を満足する」であれば在来、金物工法の両方において最終的な構造の強度は達成されると思っています。
(在来でも、仕口の断面欠損を見込んだ応力計算をしているため)

その場合、在来、金物工法では具体的に何が違ってくるのでしょうか?
(例えば、金物工法の方が、接続部の強度が高いので大きなスパンを飛ばす事ができ、吹抜け等の間取りの自由度が増す?という事でしょうか?

また、地震等外力による歪みの大きさにも違いはありますか?(繰返しになりますが、許容応力度で基準値以下の歪み量になるので工法が違っても結果は同じでしょうか?)
歪みが大きくなるのであれば気密、防湿シートの損傷の懸念(後々の耐久性にも影響)もありました。

限られた予算の中で在来、金物工法の選択をしなければならなく、かつ構造上重要事項かと思い悩んでおりました。
何度もお手数お掛け致しますがご教示お願い致します。





ユーザー オフィス・アースワークス一級建築士事務所 小松原敬 の写真
オフィス・アースワークス一級建...

あーすわーくすです。

>設計条件を「耐震等級3を満足する」であれば在来、金物工法の両方において最終的な
>構造の強度は達成されると思っています。

これはその通りで同じ在来工法なので計算方法はまったく同じです。

>在来でも、仕口の断面欠損を見込んだ応力計算をしているため

木造の許容応力度計算で通し柱の断面欠損は考慮されていないと思います。
友人の構造家は通し柱にもホールダウン金物を入れることで対応していましたが・・・
梁に関しては係数設定はあるようですが。
柱の太さによっても残る断面は違いますし、プレカット工場の設定にもよりますので。
ただ私は許容応力度計算はソフトでいじったのみで最近の計算の詳細は詳しくはないので
話半分でお願いします。

>金物工法の方が、接続部の強度が高いので大きなスパンを飛ばす事ができ、
>吹抜け等の間取りの自由度が増す?という事でしょうか?

そういう事はありません。金物を使っているだけで計算方法はまったく同じです。
地震力への対応も計算上はどちらもまったく同じです。
ただ、前回も書きましたが金物は計算に含まれない接合強度がかなりあります。
SE工法などはこれを計算に参入することで、多少の自由度の大きさをかなえています。
(ただし、集成材が前提の独自工法扱いになります)
在来の金物工法はそういった認定を受けていないだけで同じような接合強度が期待できます。
ただし、あくまで計算外なので余力扱いです。

在来工法で計算することにはメリットもありまして、将来のリノベーション等への対応が
普通の工務店にできることです。
ピンを抜くだけで取り外しできるのもその場合のメリットですし、金物が外に出てこないのも
表しの場合はメリットです。
それ以外に関しては前述したとおりです。

伝統工法は大工さんが作る仕口で接合強度を見込みますが、それには断面欠損を担保する為
にかなり太い柱・梁が必要になりますし一般的な構造計算方法がありません。
通常の在来工法では金物で補強することが大前提になっています。
外付けの金物をこまこま取り付けるのは不細工だと感じてまして、それならば金物工法の
ほうがスッキリすると思っています。





ユーザー がんちゃん の写真
がんちゃん

再度のご回答ありがとうございました。
大変参考になりました。
私も調べてみましたが、通し柱についてはご指摘の通り断面欠損を考慮されていないようでした。
ただ、中には計算上は菅柱にして金物で補強する対応をしているのもありました。
在来工法とするのであれば、おっしゃられていた通り通し柱については金物で補強する、梁については断面欠損を事前にプレカット工場に確認する等、配慮が必要ですね。
どちらの工法にするか、自分なりに結論が出せそうです。
ありがとうございました。





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