外断熱工法で蓄熱効果を高める・有限会社高城建築設計スタジオ 高城 芳昭さん


 
コンクリート造の建物は外断熱することによって蓄熱効果が高まります。
例えば、冬は内部の暖房や照明の熱を蓄熱するので、暖房を止めたとしてもコンクリートに蓄えられた熱の放熱によって急激に冷えることを防ぐことができます。
 
外断熱工法について有限会社高城建築設計スタジオ 高城 芳昭さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 有限会社高城建築設計スタジオ 高城 芳昭 の写真
東京都世田谷区深沢2-16-19-D
03-6885-5961

 

木造の断熱工法にはどのようなものがありますか?

 
木造住宅の断熱の方法は主に内断熱(または充填断熱)と外断熱(木造の場合外張り断熱といいます)とがあります。
内断熱工法とは柱・梁など建物構造体の内側壁内に断熱材を施工したものをいいます。
 
建物構造体を外側からすっぽり断熱材で包んでしまう工法を外張り断熱工法といいます。
断熱材の種類は問いませんが、屋根だけまたは外壁だけなど一部に断熱材を施工したものは、厳密には外張り断熱工法とは言えません。
 

RC造の断熱工法にはどのようなものがありますか?

 
RC造の建物は構造体がコンクリートになりますが、木造の場合と同様に、室内側に断熱材を張り付ける工法を内断熱工法、コンクリート構造体を外側からすっぽり断熱材で包んでしまう工法を外断熱工法といいます。
 

 

外断熱工法でおすすめのメーカーがありましたら教えてください

 
各メーカーに同等品がありますので、特にメーカーを特定することはありません。
 

外断熱工法のメリット・デメリットを教えてください

 
コンクリート造の建物は、コンクリート自体が室内の熱(暖冷房の熱等)を蓄熱する特性があります。
外断熱することによって蓄熱効果が高まるため、例えば、冬は内部の暖房や照明の熱を蓄熱するので、暖房を止めたとしてもコンクリートに蓄えられた熱の放熱によって急激に冷えることを防ぐことができます。
夏は冷房熱を蓄熱してくれるので、一年を通して安定した室内環境とすることができます。
 
木造の外張り断熱工法は、建物構造体の外側に断熱材を連続して張っているため、すき間がなく気密性が高まります。
断熱材の防湿層は構造体の外側となるので、構造体内部での結露の心配がありません。
また、構造体は断熱材で守られ、温度差の影響を受けないため、長持ちする住まいとなります。
 
屋根部分は天井裏に断熱材を敷き込むのではなく、屋根面に断熱材が張られるため、夏に小屋裏が異常な熱気を持つことがありません。
小屋裏を安定した環境とすることができるので、空間の利用範囲が広がります。
 
床下も外気から遮断されているので、すき間風が足元に入ることがなく、冬でも素足で生活することができます。
このように気密が良いために室内環境が安定するのが外張り断熱工法の大きなメリットです。
 
外張り断熱工法のデメリットは、外側に断熱材を張る手間が増えるので、コストが割高になることです。
 
その他、土台や柱が室内と同じ空間になるので、防腐剤を使用する場合は健康に害のないものを選ぶようにしなければならないこと、外装材の取付け方法に注意が必要なことなど、外断熱の仕組みをよく理解した経験ある設計者や施工者に依頼しないと問題が起きることもあるので注意が必要です。
 

 

外断熱工法の家をハウスメーカーではなく貴社に依頼するメリットを教えてください

 
ハウスメーカーは経験の少ない設計者や施工者もいると思うので、間違った情報で設計や施工をしてしまった場合のチェック体制が重要になります。
設計にしても工事にしても、チェックはハウスメーカーの社員が行うので、間違った内容があったとしても表面化することはありません。
 
当社は外断熱工法の特徴を生かした居心地の良い快適な住まいを提案しています。
建て主の立場に立った工事検査を実施していますので、間違った施工は未然に防ぐことができます。
 

外断熱工法のマンションも設計していただけますか?

 
コンクリート造の外断熱のメリットは蓄熱効果を利用することですが、大規模なマンションでは蓄熱体となるコンクリートのボリュウムが大きすぎるため、効果を実感することは難しくなります。
小規模マンションではオーナー宅のみ外断熱とした例がありますが、ある程度の効果は期待できます。
美術館や博物館など、全館を常に空調する建物には効果が期待できます。
 

外断熱工法の価格はどれくらいでしょうか?

 
RC造の外断熱工法は外装材の種類によって価格に大きな差がありますが、内部の仕上げを簡易にすることによってコストダウンが可能です。
 
木造の外張り断熱工法は、高性能な断熱材を使用することが多く、断熱性能が低い安価な断熱材の建物と比べると割高感があります。
断熱材の種類は問わないので、断熱材料による価格差はないと思います。
 
ただし、外張り断熱工法は断熱材を一旦仮止めした上で外装材を張るので、内断熱に比べると仮止めの手間分が割高になります。
断熱工事費は同じ断熱材で比べれば1割~2割増しとなります。
 

 

外断熱工法の場合、基礎の断熱はどうするのでしょうか?

 
木造の外張り断熱工法の場合、シロアリの被害を受ける可能性のある断熱材があるので、保護材の選定には注意が必要です。
 

外断熱工法で外壁をリフォームすることも可能でしょうか?

 
木造の外張り断熱工法は、建物構造体の外側全体に断熱材を連続して張っていくことで特徴ある効果を発揮する工法です。
外壁だけを外張り断熱する方法はある程度の効果は得られますが、外張り断熱工法として大きな効果が得られるものではありません。
 

外断熱工法で屋根をリフォームすることも可能でしょうか?

 
屋根を外張りにすることである程度の効果は得られますが、外張り断熱工法として大きな効果が得られるものではありません。
 

外断熱工法の施工方法を教えてください

 
2000年に建築雑誌で「外張り断熱が良いといわれる理由」を掲載しましたが、当時はあまり知られていない工法でした。
当時は間違った情報で宣伝が行われ、土台の防腐材が室内に充満するなど、問題となることが多々ありました。
 
構造体すべてが室内側になることを忘れずに施工しなければなりません。
外装材と構造体の間に断熱材が設けられるため、特に重量のある外装材を使用する場合には取付け方法に注意が必要です。
 

外断熱工法で結露を減らすにはどうしたらいいでしょうか?

 
内断熱のように構造体内部での結露の心配はありませんが、窓ガラスの結露が多いことは考えられます。
断熱性能の高い窓製品や二重にサッシを設けるなどの方法が有効です。
 

「レンガを外装材としたRC造外断熱の住まい」で工夫した点を教えてください

 
レンガはなるべく既成寸法で納まるよう、設計の段階でレンガ割を考えなければなりません。
レンガの製作は工事工程に影響を与えるので、全体の工事工程も設計段階で検討する必要があります。
レンガが汚れないよう、レンガと躯体にすき間を設けるなど技術的な工夫も必要です。
 

有限会社高城建築設計スタジオ 高城 芳昭さんの外断熱工法設計事例

   

画像 建物の名称 紹介文
自然を感じながら快適に過ごせる住まい

2階は木製の大きな窓で開放的な大空間を創りだしています。大きな窓からは自然の風景を眺めることができます。暖房は低温で室内を暖めてくれる放熱式暖房を全室に採用しているため大空間であっても快適に過ごせます。

居住性とメンテナンスを重視した住まい

メンテナンスは外装だけでなく内装や設備配管等あらゆるところに注意が払われています。内装の多くは安全でメンテナンスも良い塗料を使用しています。大きなテラスに降ってくる雨水は、短時間豪雨にも対応できるよう開放されていて、テラスに溜まることを避けています。

レンガを外装材としたRC造外断熱の住まい

レンガを外装材としたRC造外断熱の住まいで、認定低炭素建築物です。レンガは外装材として耐久性や耐火性に優れているだけでなく、全く手がかからないほどメンテナンス性に優れている建材です。奥行8cmのレンガはコンクリート躯体と緊結されているので、タイルのように剥がれて落下することがありません。

メンテナンスフリーを目指した快適省エネ住宅

将来の外装メンテナンスには足場が必要ですが、3階建ての足場は高額となります。また、建物が密集した狭い場所に足場を建てるのは容易ではありません。外装は継ぎ目にシーリングを使用しないなど、外装のメンテナンス性を高めることによって、将来の負担を減らすことを目指しました。

定年後の省エネ安心住宅

自然な風による換気と採光がいちばん気持ちよく有効であるとの考えから、プランづくりでは通風、採光にも注意が払われています。引き戸が多く採用されているため、通風が容易で動き易いオープンなプランとなっています。アプローチや浴室、トイレは車椅子対応が考慮されており、エレベーターが設置されています。