住宅密集地にインナーテラスのある家

テラス
住宅密集地に家を建てる場合、日当たりが悪い・隣家からの視線に注意が必要などのデメリットがあります。
今回は、遠藤浩建築設計事務所 遠藤浩さんの設計した、「インナーテラスのある二世帯住宅」をご紹介します。
中庭・インナーテラスで住宅密集地の問題を解決した事例です。

お話を伺った建築家

 

ユーザー 遠藤浩建築設計事務所 遠藤浩 の写真
さいたま市緑区東浦和3-32-7-202
048-875-1382

東京都目黒区 I邸

お施主さんとの出会いは、インターネット経由。
50年近く住んでいた家の建て替えのため、「シンプルで木のテイストが要所にあってやわらかい雰囲気の建物」を手掛けている建築家を探したそうです。
お施主さんのご要望は、「開放的で日が良くはいる」「風通しが良い」の2点でした。

土地の状況

インナーテラス
東京都目黒区にある、駅から徒歩7~8分とアクセスが良い土地です。
100坪の旗竿地で、西には3階建てが3軒、北西には半地下3階建てのマンション、東には2階建ての家が2軒、南は2階建てのアパートと出入り用の道路です。
 

土地の問題点

周りを建物で囲われてしまっており、その上木が生い茂っていたので、日が当たらないじめっとした空間でした。
第1種低層住居専用地域で高さの制限があり、「3階建てが建てづらい」という問題がありました。
また、建物に囲まれた旗竿地で、日照を確保しながら、プライバシーにも配慮する必要があります。
 

お住いになる家族について

親世帯:祖母+夫婦(50代)+子供 
子世帯:夫婦(20代)

間取り

1階平面図
2階平面図
断面図
親世帯4LDK
子世帯3LDK
駐車場2台縦列駐車可能
 
図面に向かって左側が親世帯で右側が子世帯です
 

インナーテラスとは

インナーテラス
直接外に出るのではなく、緩衝エリアを作ることによって、外と内の融通をきかせることができる中間領域です。
1階にあり庭へと続く室内のテラスが「インナーテラス」で、2階に作ると「インナーバルコニー」と呼ばれます。
 
中庭に出入りをする際に、サンダルをインナーテラスで着脱することにより、雨に濡れることがありません。
小雨程度なら窓を開けておいても、家の中に吹き込む心配がありませんし、観葉植物を置いてサンルームとして使用することもできます。
庭の延長として活用できる使い勝手の良いエリアです。
I邸のインナーテラスに敷かれたスノコの下には排水口があり、雨が吹き込んでも水はけを心配する必要がありません。
 

インナーテラスのメリット・デメリット

テラス
I艇では、南向きに中庭を設置したことによって、リビングダイニングと祖母の部屋の日照が良くなりました。
周囲を建物に囲まれていますが、外の周囲に向かってはクローズなので、人目を気にすることはありません。
しかし、中庭に向かってオープンなので、旗竿地であっても開かれた空間を作ることができます。
 
デメリットは、インナーテラスを作る分、建物の凹凸が増えるので、コストが掛かる点です。
中庭自体の造成も、同様に外壁が増えるのでコストアップにつながります。
 

インナーテラスの材料

イペという材料(天然木)が注目を集めています。
杉や松は5~7年程度しか持ちませんが、イペは20~30年持つのだとか。
 
アマゾンの中で水に浸かって生えている木なので、「目が詰まっていて水に強い」という特性があります。
ドリルも効かないくらい固い木です。
樹脂が注入してある木材よりも安価なので、耐久性やメンテナンスそしてトータルのコストを考えるとイベの方がおすすめです。
 
インナーテラスは、タイル貼りも可能です。
テラコッタタイルを用いることで、フローリングと一体感が出ます。
テラコッタは蓄熱効果があり、冬日差しを浴びて蓄熱して夜放熱してくれます。
 

インナーテラスのデザイン

インナーテラスは、I邸のようにデッキではなく、土間にすることも可能です。
ただし、下げて土間を作ると空間が区切られて狭くなってしまいます。
コンパクトなお家は高低差をなくした方が、広がりがうまれます。

インナーテラスのリフォーム

後付けでサンルームを付けるのと同じなので、作ることはできます。
けれども、中庭を後から作るのは無理なので、中庭があることが前提になります。
 
既にインナーテラスがありそれをリフォームする場合には、床を貼って部屋を広くするのがおすすめです。
インナーテラスは日照があるので、納戸や収納にしてしまうのは勿体ないです。
リフォームの際には、日照をいかせる活用法を考えましょう。
 
また、DIYで作るのは、壁の造成が必要なので難易度が高いです。
 

住宅密集地に家を建てる際に工夫している点

インナーテラス
日光を取り入れるためには、実際の敷地に立ってみることが大切です。
家と家の隙間から日が差したら、そこに向かって開口を取るようにします。
そうすることで、住宅密集地であっても「開放的」でありながら「日照を確保」することができます。
 

その他に工夫した点

I邸では他にも様々な工夫をしています。
 

二世帯住宅の調整

インナーテラス
二世帯住宅の場合、「打合せを1人に絞ってください」とお伝えしているそうです。
事前にしっかりとご家族で話し合いをしておくことで、スムーズにすすめることができます。
 
また、「それぞれの世帯がどうさりげなくかかわるか」も大切なポイントです。
それぞれの世帯の生活空間が完全に分かれてしまうと、アパートかマンションのようになってしまいます。
かかわり方の変化もある中で、お施主さんのご要望をお伺いしながら着地点を探るそうです。
 
今回I邸では、清掃工場が近くにあり、洗濯物を外に干すことができないので、1階にインナーバルコニーのほかにコミュニケーションサンルームを設置しました。
サンルームは洗濯物を干せるだけではなく、双方の世帯をつなぐ廊下としての役割も果たし、コミュニケーションの場として活躍します。
雨降っても洗濯物を取り込まなくて良いのもメリットのひとつです。
 

コストカットの工夫

リビング・ダイニング
将来的なことを考え、水回りも2つずつ設置しました。
予算がシビアだったので、随所でコストカットの工夫をしています。
 
壁には「ガルバリュウム」という鉄にアルミと亜鉛の合金のメッキを施した鋼板を使用しています。
コストが安く、「ガルバニックアクション」と呼ばれる、傷つけても自然に被膜が修復する性質があるので錆びることがありません。
メンテナンスフリーなので、メンテナンス費用も削減できます。
 
また、木を使ったお宅では、白木のテイストをいかすことで、着色の必要がなくなりコストをカットすることができます。
 
注意したいのが、ローコストであったとしてもおさえてはいけない所がある点です。
ネオマフォームという断熱材が一番高いのですが、屋根の断熱材にはこちらがおすすめ。
厚さが80㎜もあり効果が高いので、変更してしまうと、2階の部屋は真夏暑くて室内で過ごすことが難しくなってしまいます。
 
素材の特性から些細な疑問まで、一つひとつ丁寧に答えてくださる遠藤さん。
一戸建てだけではなく、マンションも手掛けており、豊富な経験をいかして的確なアドバイスを頂くことができます。
「信頼してお任せいただけるよう、気になることはお聞かせください」と仰っていました。
 

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