冷暖房のおすすめ
づくりのポイントは、
①断熱・気密性能に優れる高気密高断熱の建物
(屋根・外壁・基礎の断熱性 /窓や扉の気密性)
②高効率の住宅設備の採用(冷暖房・給湯・照明)。
では、お勧めの暖房方法ナンバーワンは?
高気密高断熱の建物なら、心地よさは全館空調が一番だと感じます。
ここでいう全館空調とは、温度調整済みの新鮮空気をダクトで屋内の各部屋に届け、室内の汚染空気は排気ダクトで熱交換器に回収し、熱を取り出したあとで屋外に排出する、一連のシステムを指します。
別々だった 「換気」と「温度調整」、室内の快適性を左右する二つの機能を、一元化した考え方です。
全館空調の快適さの源は、輻射熱と対流のバランスです。
温度調整済みの新鮮空気を室内に供給して建物ごと温めるので、空気の対流はあるのですが、暖かさは輻射熱とも言えます。
その使用感は、音もなく肌で感じるほどの気流もなく、冬を忘れる心地よさ。
デメリットは次の3点に集約されると思います。
①取り付け工事費用の高さ
②面積要件
③定期メンテナンス
全館空調には館内すべての24時間換気とエアコン機能が含まれますが、「24時間換気+部屋ごとのエアコン」と比較しても、割高感は否めません。
ただ全館空調では、玄関や廊下、トイレや洗面脱衣室など、一般的にエアコンを取り付けない場所も温度調整されるので、快適性のメリットを光熱費の差額として考慮すると、長期で見ると割高感は低減します。
面積要件は、大きめのダクトスペースと畳6畳程度の機器の設置場所、機械交換時の導入路確保です。
天井裏への取り付けタイプは天井の上に6畳程度のロフトスペースが必須で、30坪前後の一般的な住宅ではプラン的な工夫が求められます。
屋根勾配の関係など難しいことも多く、ご要望があっても導入にいたらない主な理由になります。
導入を自分ごととして考えた時、個人的な懸念は換気扇と専用エアコンの2台の定期メンテナンスです。
個室対応の壁掛けエアコンより扱う気積が大きいので、全館空調システムでは月1回程度のフィルター清掃とシーズンごとのメンテナンスは欠かせません。
20年後、30年後も同じレベルのメンテナンスを続けていけるか不安なような、しかしエアコンより台数が少ないから逆に楽かも・・・。
そんな理由からか、ハウスメーカーで全館空調システムを導入できる場合、定期メンテナンス契約が必須となっているところがあります。
確かにトラブル回避には、年一回の定期点検は有効な制度です。
導入を検討される際には、定期メンテナンス契約も併せて検討されることをお勧めします。
このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。