トイレの室内側に窓をつくる。(高齢者施設)

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真

高齢者施設の個室内に設けたトイレに、外部ではなく室内に開けたすりガラスの窓を付けました。(写真奥の左側)高齢者施設に限らず、ワンルームマンションであれば同じ状況をつくることができます。トイレの室内側に窓?なんで?と思われると思いますが、とにかく聞いてください。これが結構評判が良いのです。

一般的に集合住宅の水回りは廊下側に配置されます。結果としてトイレは外壁に面さない状況になります。外部が共用外部廊下であればそちらに開くことが可能ですが、浴室がある場合はやはり無窓室になります。(トイレと浴室を逆転すれば別ですが)結果トイレは昼でも照明に頼る閉鎖空間となりはてます。私は戸建住宅では何か優先するべき絶対的な理由がなければ、必ずトイレは外壁に面するようにして窓を開けますが、集合住宅ではプランニング上どうしても解決が難しい状況になります。

そこでこのように室内に開いた窓を設けてみることにしました。居室は大きなフルハイトサッシ(床から天井まである窓)にしていますので、室内は太陽の光で満たされています。当然この光はトイレにも届きます。トイレの窓は当然磨りガラスですので中は見えません。また、便座に座ると影が見えにくい高さにしてあります。

結果は良好で、明るくて照明をつける必要が無いとか、明るくて気持ちが良いとか言われています。これが洗面所を含んだ場所であれば、朝日を感じながら歯磨きをすることになります。高齢者施設の場合、トイレ内で気分を悪くする方が多いこともあり、使用中の気配を知ることができると、施設の方からは喜ばれています。色々な意味で良いことづくめなのです。

今度やる時は、ガラスを居室側に面一にして、壁面全体にワーロン紙を貼って、どこが窓だか見えないようにするとさらに面白くなると思っています。どなたか実現させてみませんか?
(撮影:北嶋俊治)