隠れ家のようなクラブハウス・河原泰建築研究室 河原泰さん
マリーナのクラブハウスは会員同士のコミュニケーションもクラブライフの楽しみの一つです。
河原泰建築研究室 河原泰さんの設計した芦屋クラブハウスはコミュニケーションボイドと呼ぶ、多くの吹き抜け(穴)を設けて、空間にゆとりをもたらすとともに、他の会員の存在を把握できるようにして、会員同士のコミュニケーションが促進されるようになっているそうです。
貴社がクラブハウスをてがけたきっかけがありましたら教えてください
知己のマリーナ建設のプロデューサーからの依頼で、マリーナ開発事業の基本構想の絵図を描いたのがはじまりで、その後マリーナ運営会社からクラブハウスを設計してほしいとの依頼を受けました。
クラブハウスの外観で注意している点を教えてください
外資系企業であるベルポートジャパンが、兵庫県芦屋市に位置する高級マリーナを開発するにあたって掲げた開発コンセプトは、「日本がまだ知らない本物のマリーナライフの提供」ということでした。
ソフト面では欧米を範とするホテルクラスのサービスとプライバシーを守るセキュリティを追求し、それに応えるハード面ではランドスケープと一体化した大人達の隠れ家となる建物をつくることとしました。
クラブハウスには、山側のアプローチ路からアクセスします。
緑のアプローチ路を抜けると、石積みの緑のマウンドがあり、そのマウンドと建物の屋根は一体的につながっています。
正面玄関の車寄せには、マウンドの屋根の切れ間から洞窟の中に潜り込むように進みます。
会員は秘密の隠れ家に遊びに来たような感覚を覚えることでしょう。
控えめな落ち着いた山側(アプローチ側)の外観とは対照的に、海側(マリーナ側)はガラス張りで、護岸上部まで大きく迫り出したマリーナの中でもひときわ目立つ外観となっています。
これは、ボートやヨットで帰港した会員が、すぐにクラブハウスを見ることによってホームマリーナとを実感し、誇りを持てるような外観とすることを意図しています。
クラブハウスの内装で注意している点を教えてください
マリーナの景色をクラブハウスからどのように見せるかということについて熟慮しました。
隠れ家の玄関を入ると、眼前にマリーナが現れます。
この時のマリーナのトリミングの仕方、迫力を感じる寸法、逆光とならずにマリーナをクリアに見せるためのガラスの傾斜など、何回もシミュレーションを繰り返しています。
この検討は成功を収めたようで、ヤマハのボートは新作ができると、クラブハウスの正面に新艇を停めて撮影し、パンフレットの表紙にしていました。
同様にレストランや、浴室、VIPルームなど、それぞれの場所からのマリーナの景色の切り取り方に趣向をこらし、さまざまなマリーナの魅力をクラブハウスから伝えれれるように考えています。
クラブハウスの平面計画で注意している点を教えてください
会員の動線と運営管理者の動線は、まったく交錯しないよう計画しています。
それはレストランで働く人や清掃スタッフのバックヤード動線なども同様です。
最高のホスピタリティを実現するために、運営管理者はあわただしく動いていますが、それを会員に知られることなく、かつ効率的にサービスできるような平面計画とすること、これは高級ホテルの考え方に多くのヒントを得ています。
芦屋クラブハウスの設計で工夫した点を教えてください
会員同士のコミュニケーションもクラブライフの楽しみの一つであるため、クラブハウスを大きな家と見立てて、一つの屋根ですっぽりと覆っています。
屋根の下には、コミュニケーションボイドと呼ぶ、多くの吹き抜け(穴)を設けて、空間にゆとりをもたらすとともに、他の会員の存在を把握できるようにして、会員同士のコミュニケーションが促進されるように考えています。
芦屋クラブハウスはマリーナのクラブハウスですが、ゴルフ場のクラブハウスも設計していただけますか?
はい。ゴルフ場のクラブハウスもマリーナのクラブハウスやホテルから多くのヒントを得て、工夫できるところがたくさんあると思います。
芦屋クラブハウスは新築ですが、リフォーム・リノベーションなどもやっていただけますか?
はい。リフォーム・リノベーションも承ります。
芦屋クラブハウス・概要書
芦屋クラブハウスの概要書をいただきましたので、掲載いたします。
芦屋クラブハウスの概要書(PDF)
河原泰建築研究室 河原泰さんのクラブハウス設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
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芦屋クラブハウス | 海側は開放的に明るく、山側は隠れ家のように |
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