好奇心をかきたてる仕掛けや居場所がある学校・株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘さん
学校の設計では児童の好奇心をかきたてる仕掛けや居場所をつくることが大切です。
学校について株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘さんに伺いました。
貴社が学校を手がけたきっかけがありましたら教えて下さい
プロポーザルコンペで最優秀に選定されたことがきっかけです。
学校の外観をデザインする際に注意しているポイントを教えて下さい
・周辺環境との調和
・周辺地域のランドマークとなる形態
・周辺地域とのインターフェースとなる透明性
学校の内装をデザインするときに注意しているポイントを教えてください
・児童の好奇心をかきたてる仕掛けや居場所をつくる。
・少人数から大人数まで様々な活動を可能にするフレキシブルな空間をつくる。
・低中高学年の発達別の空間構成をつくる。
・高層校舎における上下階の断絶を防ぐため、気配を伝え、換気や採光に寄与する吹き抜け空間を効果的に配置する。
・特別教室を含むラーニングエリアを児童の自由な活動の場とする工夫。
・学校は児童生徒の作品や物品など様々な色彩で溢れることから建築は自己主張を制御して背景となるように配慮し、むしろ児童生徒の想像性を後押しする空間作りをする。
学校建築には建築基準法以外になにか基準があるのでしょうか?
地方自治体条例
都市計画法
バリアフリー法
省エネ法
文科省小学校整備指針・設置基準
各自治体小学校設置に関する取り扱い基準
鯖江市中河小学校で工夫した点を教えて下さい
隣接する河川堤防の高さ(中2階レベル)を利用して、2階にアプローチする階段踊り場の中2階レベルに図書室やパソコンコーナー、音楽室などと有機的に接続させた。
また、階段状の「シアター」と呼ぶ劇場の客席状スペースを上下階の移動部分に介在させることで様々な発表やベンチとして機能させている。
これらの機能全体を地域産材の木を活用した木造の大屋根で覆うことでラーンニングセンターとして機能させている。
これにより上下階の断絶が解消されるとともに学校全体が気配が伝わる一体感を持たせ、雪の多い地域において主に校舎内における児童の活動を豊かなものにしている。
堤防上の遊歩道からは地域住民が自由に学校活動を覗き見ることができる公園を整備し、地域の憩いの場を敷地内に提供すると同時に地域の目で見守る防犯体制を作り出した。
鯖江市中河小学校はオープンスクール型ということですが、オープンスクールとはどのようなものでしょうか?
児童の個別を生かす学習を可能にするため、学年の垣根を越えた理解度に合わせた柔軟に教育活動を展開できるように、教室の廊下に面した間仕切りを取りやめ、様々な学習教材を持つ多目的室(オープン・スペース)に面するように配置させた学校。
これによりフレキシブルな学習形態が可能になり、児童の自主性や主体性が尊重され、チームティーチングなど教師相互間の協力的授業を行うことができる。
事務所などを学校にコンバージョンする仕事も引き受けていただけますか?
もちろん可能です。
貴社に学校の設計を依頼するメリットはなんですか?
私の関わった学校の設計は普通の学校と少し違って見えます。これは単に変わったデザインを追い求めた結果ではなく、教育委員会を始めとする先生方とのコミュニケーションを介して理想の学校を追い求めた結果です。
学校建築に正解はありません。
時代に即した変化に柔軟に対応することで これまでに無い発想による「あたらしい学校」をつくることが私たちの目標であり、そのための労は惜しみません。
学校を建てたい方になにかアドバイスがありましたら お願いします
学校をめぐる環境は大きく変わりました。
機能の常識は今後通用しなくなる状況です。
少子化による空き教室の増加や一極集中による定員の増加や、教室であった場所が放課後児童室になり、図書室になり、地域開放室になり、果ては異種用途に変更されていくといった変化といった今日的な問題への対応を設計当初よりシミュレーションしておく必要があります。
未来を見つめた視線が今後の学校計画には必要なのではないでしょうか。
御社が学校設計に際して強みとしていることがあれば教えて下さい
私たちはこれまでに小学校の他、保育園、高齢者施設、NPO法人オフィス、展示施設など様々な設計に関わってまいりました。
教育施設専門の設計事務所ではありませんが、これら多種多様な設計経験は常識にとらわれないアイデアの発想を可能にしています。
特に高齢者施設と保育園の設計経験において「開かれた学校」としてのアイデアを多く提案できるものと考えております。
株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘さんの学校・設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
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鯖江市中河小学校 | 旧校舎を使いながらの小学校の現地改築です。浅水川沿いの敷地条件を巧みに利用し、中二階レベルを堤防の 高さとして校舎と川との関係を一体化した計画としました。 |
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