アットホームな雰囲気の小料理屋・安藤建築設計工房 安藤政英さん
小料理屋の間取りは迎え入れる店側とお客様がどこでどのように対峙するか。ドラマを感じさせる演出が必要です。
小料理屋について安藤建築設計工房 安藤政英さんに伺いました。
小料理屋の設計を手がけたきっかけがありましたら教えてください
小料理屋さんの施主である女将さんが店舗の設計者を探していて共通の知人から紹介を受けました。
同一の敷地内に大手ハウスメーカーの住宅を建ててしまったが、ハウスメーカーの設計者では自分の要求にあったものを設計してもらえそうになかったので丁度めぐり合えたと喜んでもらえました。
木造旅館の設計等、おもてなしの空間作りに手馴れた設計者が近所にいるということでお願いされました。
小料理屋の外観で注意している点を教えてください
ハウスメーカーで作った住宅の隣に別棟としての計画でした。
狭い敷地で隣り合わせの建物となるため、違和感の無い外観とすることに注意しました。シンプルで且つモダン。
和風の田舎料理を提供する雰囲気をこころがけ気軽に入りやすいようささやかな玄関としました。
小料理屋の間取りで注意している点を教えてください
玄関を入ってのひと呼吸、迎え入れる店側とお客様がどこでどのように対峙するか。ドラマを感じさせる演出が必要かと思います。
また、今回のお店は基本的に女将さん一人で切り盛りするため、店の中を女将さんが一目で見渡せられるよう位置取りをしました。
しかし、客側からは「見られている」感じを出さないことが大切です。
小料理屋の内装で注意している点を教えてください
建築基準法でいう「内装制限」がかかるため木質系のものは使いにくいのですが、なるだけ自然素材のものを提案します。
色合いも少し暗めにし、床材については靴を脱いで裸足で歩くため、ムクの木のフローリングはかかせません。
小料理屋の厨房設計で注意している点を教えてください
やはり、調理をする人の動線を重視です。手の届く場所に配置することで狭すぎず広すぎずの寸法を決定すること。
また、カウンター形式の場合、お客様と給仕する人との目線の高さも考慮しなくてはなりません。
冷臓庫や換気扇などの音の問題にも注意が必要です。
小料理屋のカウンターはどのようにしていますか?
カウンターの材料はいろいろです。予算があれば1枚板とかになろうかと思いますが、お金をかけたわりには一般的ですのでムク材のまちまちの材料を繋ぎ合わせたり、叩いたり削ったりして使っています。
巷によくある集成材だけはNG。
カウンター下にはバックを置くスペースやカウンター上には調理道具やお品書きを置くスペースも考慮しなくてはなりません。
小料理屋の看板はどのようにしていますか?
設計でだいたいのイメージを看板屋さんにお話して作ってもらっています。
小料理屋の物件探しも手伝っていただけますか?
手伝えます。
土地等の物件だけでなく、古民家の再生でも、古民家移築でも、古材の一部利用でも好みに合わせて提案できます。
小料理「こゆり」の設計で工夫した点を教えてください
2間×5間という狭小スペースでしたが、カウンター席とテーブル席を確保し天井も低めにしてアットホームな家庭料理屋さんの雰囲気を作ってみました。
小料理「こゆり」は新築ですがリノベーションなども引き受けていただけますか?
店舗設計の場合、予算の問題等で空き家を改装したりする場合もよくあります。
「制約」があるほうがかえって楽しい、お客様にとっては居心地のいい場所を作れたりもしますのでリノベーションも得意分野です。
安藤建築設計工房 安藤政英さんの小料理屋・設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
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小料理「こゆり」 | 予算を抑えるため、2間×5間の箱型のシンプルな構造としました。カウンターをメインにして1人で切り盛りしてもできるように給仕の仕方など何度も打ち合わせをしました。 | |
小料理屋 「草如庵」 | 20年あまり使われていなくて半分雨漏りもするような古民家であったが、その分下手な改造が無く、素材をなるべく生かした建物とした。何も足さない、何も削らないのコンセプト。 |
小料理屋・メニュー