現代の生活に馴染む数寄屋・渡辺貞明建築設計事務所 渡辺 貞明さん


 
数寄屋は書院造から派生して茶室の自由な発想を得た日本の住まいの一つの典型的な姿といえます。
 
数寄屋について渡辺貞明建築設計事務所 渡辺 貞明さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 渡辺貞明建築設計事務所 渡辺 貞明 の写真
川崎市中原区木月1-4-15
044-434-4777

 

貴社が数寄屋を手がけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい

 
独立前に勤めていた早川正夫建築設計事務所は茶室の設計や歴史的建築物の復元,改修を数多く手がけてきた事務所で建築家堀口捨巳の設計姿勢を継承する事務所でした。
 
ここでは日本の伝統、歴史の延長線上にある現代の住まいを考える機会を与えられ、その経験が今の仕事の根底にあります。
 

数寄屋の特徴を教えて下さい。

 
数寄屋は書院造から派生して茶室の自由な発想を得て日本の住まいの一つの典型的な姿といえます。
 
その素材の選定、工法は現代の工業製品としての住まいとは全くことなるものであり、典型的な日本の姿を持ちながら現在の日本ではごく限られた特殊な存在になりつつあります。
 
数寄屋的間取りの特徴は部屋と部屋をつなぐ縁側、入り側の存在でありその事によってうまれる小庭と周辺を囲む座敷との調和があげられるでしょう。
 
その空間構成と綿密な関係にあるのが天井と軒の構成であり、これもまた数寄屋建築の見せ場となっています。
 
意匠的には複雑な難しそうに見える仕事の寄せ集めではなく、単純な線と面の構成のバランスを丁寧な仕事を通して訪れるものに伝える、その事に数寄屋空間の醍醐味があるようにおもいます。
 
ライフスタイルが全く変化してしまった現在、少なくともその空間の持つ特質を理解し現代の生活に馴染む形で提案される事が望まれます。
  

数寄屋の間取りで注意する点があれば教えて下さい。

 
数寄屋的な間取りでは、視線も風も光も透けるという言葉がキーワードなるとおもいます。
しかしながら現在の建築基準法と環境ではこの考え方に大きくブレーキがかかってしまう事は避けられません。
 
特に耐力壁の配置はバランスよく配置する事がよいと現行法規ではされていますが、部屋の4隅に耐力壁を配置するという事はそのまま数寄屋的空間の放棄を意味するといってもよいでしょう。
通常の耐力壁の簡易計算ではなく、構造設計家の力を借りて解決していかなければなりません。
 
また昨今の高気密高断熱的発想は、本来数寄屋建築の工法である新壁造りとは相容れにくいものです。
解決方法がないとは言えませんが、ディテールが複雑になりコストもかかります。
 
本格的になればなるほどこうした機能一点張りの便利さや快適さとは両立しにくくなります。
 
多少便利さを犠牲にしても、数寄屋らしさにそれ以上の価値を認められるかどうかが重要です。
私はむしろ「心地よい不自由さ」の様なもののほうが数寄屋にはふさわしくはないかと思っているくらいです。
 

 

数寄屋の屋根で注意する点があれば教えて下さい

屋根の美しさは数寄屋建築の大きな見せ場の一つです。
 
以前にも和風建築について書いたときにも申し上げましたが、和風、特に数寄屋建築の屋根はこれ見よがしの構成は避け、軽快に素直に表現され、施主の美意識に対する見識を表現する意味で、重要だと思います。
 
更に軒裏の表現は和風建築の重要な見せ場でもある事を忘れないようにしなければなりません。
軒裏は当然ながら室内に座った時に美しく見える事も前提に考えます。
これも法規や予算により大変な制約を受ける部分ですが、設計上大切な踏ん張りどころです。
 

数寄屋の茶室なども設計していただけますか?

 
勿論茶室と数寄屋は切り離せないものです。
設計例をご覧ください。
小間、広間、タワーマンションの中や、普通の住宅の一部屋を茶室になど様々な経験がございます。
 

 

数寄屋を手がける大工なども紹介していただけますか?

 
数寄屋は手をかけようと思ったら費用は天井知らずになってしまいます。
大工さんが費用に添った仕事で対応できる事も大切な事、適切な大工をご紹介致します。
 

数寄屋の玄関を設計する際に注意している点を教えて下さい。

 
どの様な建物でもそうですが、玄関はその家の内部の雰囲気の導入部分であり、おくまで踏み入らずとも建物全体の美意識を感じさせるものでなくてはなりません。
 

 

数寄屋の建物を建てたいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい。

 
長い間時間をかけて培われてきた歴史や様式、その延長線上に我々の現代の住まいがあるのだという意識の上にその時代の和風建築は成り立っています。
 
何か新しいものを造り出す時、先人の試行錯誤の末、それが長い年月を生き残ってきた意味を理解し、その道筋の上に新しいライフスタイルとうまく折り合いをつけて造り出すものが新しい和風建築なのだと思います。
 
技術的には工業化が進みすぎて、日本の大工さんの技が淘汰されていっているのが現実です。
適切な設計事務所、ふさわしい工務店を見極めていただきたいと思います。
 

渡辺貞明建築設計事務所 渡辺 貞明さんの数寄屋・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
鎌倉の茶室-小間「3畳台目向う切り」-1

狭い敷地にどのように、2階を住居とし、広間と小間、路地、玄関、寄り付きを配置するか、鎌倉といえどもハウスメーカーの建物が建ち並ぶ環境にあって、どのように茶の別世界を構築するかに大変苦労した。

鎌倉の茶室-小間「3畳台目向う切り」-2

狭い敷地にどのように、広間と小間、路地、玄関、寄り付きを配置するか、鎌倉といえどもハウスメーカーの建物が建ち並ぶ環境にあって、どのように茶の別世界を構築するかに大変苦労した。

鎌倉の茶室-広間

狭い敷地にどのように、広間と小間、路地、玄関、寄り付きを配置するか、鎌倉といえどもハウスメーカーの建物が建ち並ぶ環境にあって、どのように茶の別世界を構築するかに大変苦労した。

昭和初期の佇まいに暮す

昭和初期の佇まいに暮す

現代の暮しと数寄屋の意匠-2

横浜を一望する景色を取り込み、数寄屋の意匠でありながら、椅子とフローリングの生活をしたい。
建具なども簾戸と紙障子の組み合わせで和の雰囲気が主軸になっている。
和モダンといわれる安易な意匠にはしらないように注意した。

 

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