耐震診断、補強設計、耐震改修工事について その2(木造戸建住宅の耐震診断1)
木造戸建住宅の場合の耐震診断の概略説明を致します。
平成7年の阪神・淡路大震災では、昭和56年以前(旧耐震基準)に建築された建物の
約70%が小破以上の被害を受け、震災での死亡者のほとんどが家具、建物の倒壊による圧死が原因であったと言われています。従いまして、大まかに言えば、昭和56年5月以前に建てられた木造住宅は大地震時(震度6強程度)に倒壊する可能性がある、とされています。各自治体が助成制度を設けるなどして、まずは、耐震診断を受けることを啓蒙・促進をしています。
弊社は練馬区内等で木造戸建住宅の簡易的な診断(予備的な診断)を平成18年以降、約100棟以上、及び精密診断による補強設計・工事監理を約40棟ほど行った実績があります。
旧基準の住宅を耐震診断する場合の基本的なポイントについてですが、
旧耐震と現在の耐震基準で大きく違う点は、地震力は水平方向の力なので、これに抵抗する為に必要とされる壁量(壁耐力)です。(旧基準は窓など開口部が多くて壁が少ないのに対して、現在の住宅は壁が多いのが大きな違いです。)よく、柱が多い建物が地震に強いと思われる方がいますが、柱と柱を繋ぐ開口のない壁(ドアや窓のないこと)でないと、地震力には有効ではありません。
なお、壁の配置は、南北東西方向に偏りなくあることが重要です。南側は窓が多く、北側に壁の多い住宅の場合は、地震時に偏心が生じて、建物にねじれの力が作用する可能性があります。
また、建物の重量が大きいほど、地震力が大きくなります。瓦屋根、土壁造りで壁の極端に少ない建物の倒壊した例は多くあります。(もちろん、瓦屋根だからと言って全てが危ない訳ではありません。)
更には、増築などをしている場合は、(特に2階がおかぐらの状態など)もとの建物との接合部が十分でない場合には、地震時にずれてしまうことがあり得ます。
簡易的な診断では外観、内観、間取り調査などで上記の事柄を調べ、概ねのところを調べます。しかし、実際の耐震改修工事をする為には、次の段階として、定められた基準に基づく現地調査、詳細な診断を行い、補強設計を行う必要があります。