新国立競技場について

ユーザー 桑原建築設計室 桑原 廣 の写真

ああやっぱりと、溜め息がでました。審査委員長の安藤忠雄氏の会見を
見たときでした。私自身は、公共事業のアイデアコンペ や実施コンペ
に、7~8回応募した経験があります。結果が出たときに、いつも
思ったことがあります。審査の経過が不明朗ということです。確かに、
選んだ経過は、発表されます。しかし、審査の評価基準が曖昧で、後で、
どのような言い訳も成り立つようになっています。また、アイデアコンペ
のありがちな、鳥の目の印象のコンペになってしまうことが
あげられます。つまり、模型、CG等の鳥瞰で見て、判断されることです。
建設された場合、ヘリコプター等でしか見られない角度の姿で、
デザインを判断していることです。普段の歩行する通りから、周囲から
の景観からのデザインの判断は、あまりなされていません。また、
技術審査等が行われたはずですが、その評価基準がどのようなものか、
また、審査員が理解しているかということです。今回のコンペのように、
大前提の計画が、かなりいい加減な場合、何を審査しているか、
審査委員は、あまり理解出来なかったのでは、ないでしょうか?
予算も大雑把に計上され、何にいくらぐらいかかることが、解らない
ようにになっているのでは、ないでしょうか?
(今回の計画は、テレビモニターシステム等最新機器、IT機器の予算も
含まれ、純粋な競技場の予算ではない)大規模公共事業 の多くは、
当初予算の倍以上の場合が多く聞かれます。それは、計画から完成
までの責任者であるプロジェクトマネージャーが、いないからでは
ないでしょうか?民間企業の場合、予算計画の失敗は、企業の存続に
関わります。公共事業は、後から税金で補填すれば、どうにかなると
思っているのでは、ないでしょうか?
私見ですが、日本では、多くの場合、公共事業の企画、計画を何故、
公務員の官僚が行います。厳しい環境で、揉まれたことのない
企画、計画が、日本では、いかに多いか、結果をみれば、明らかです。
企画、計画は、民間にまかせ、それをチェックする側に、役所が
関与すればいいのではないでしょうか?
今回、白紙に戻ったはずですが、すぐに、ある筋から、サッカーの
ワールドカップに8万席必要だから、固定席で、計画するとの報道が
でました。誰が意見を言ったか明確に提示して、議論して欲しい
ものです。公共事業は、国民のレガシー(遺産)なのですから!