パントリーについて

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パントリーについて

食料庫と訳して良いのか、、ヨーロッパにおいては貯蔵庫的な意味合いが強く冷蔵庫のない時代に温度が変わらないように陽の当たらない北側に作ったり、していたらしい。
現在においては大きな冷蔵庫がその代わりをしている。
時代の変化とともに缶詰や乾物などの日持ちする物のストックヤードとなっている。

要はキッチン関係の収納をどうするかということなのだが、パントリーを設けるということはそれなりの空間が必要となり、ある程度の敷地の大きさが必要となると思われる。
狭小地においてパントリーを設けることは無駄である。パントリー室の中には収納棚の他、棚に至る廊下的な動線空間も入っいるのでその場合はパントリーを設けるのではなく、普通に壁面を収納にして扉をつけたほうが空間的に無駄が少ないのである。

特に最近のキッチンは収納力が優れているので特に必要ということは少ないと思われるが、僕の場合のパントリーのケースを紹介します。

Case-1 大きな家
高級住宅もしくは郊外にて大きな敷地が確保できた場合、パントリーを設けても十分に他の広さが取れるのでプランニングの際に配することが多い。
その場合、検討しなければいけないのが位置である。ストックしなければいけないような大きな荷物は主にどこから搬入されるのか?ご自身でお買い物に行かれるのか?配達してもらうのか?車を使用するのか?色々なケースを打ち合わせで話し合います。
それにより玄関のそばが良いのか、ガレージのそばが良いのか、勝手口のそばが良いのか、普通にキッチンそばが良いのか?
ある方はよく農作物をもらわれるのですが、土まみれなので勝手口近所に土足で入れる食料庫を設けました。(昔の土間の感覚ですね)

Case-2 他の収納と併合する
しかしストックヤードはあれば大変便利なので小さな家だが欲しい。そのような場合は他の収納と兼用することがある。僕は設計の際にシューズクロークを作ることが多いので少し大きめのシューズクロークを設定して、多用途な収納と考えています。
基本的に玄関脇の土足で入れるスペースに作るのでストックヤードとしては利便性が良い。また、生活の変化に伴い、靴が増えたり、アウトドア用品が増えたりすることで多用途に変化していくことも可能なので便利である。また、玄関土間から入って靴ぬぎを作ることで室内とつながることも可能である。

Case-3 キッチンの一部としてデザインする
最近はオープンキッチンを求められることも多く、アイランド型を設計するこがしばしばある。しかし、個人的にはキッチンはオープンでない方が良いと思っている。理由は基本的にみなさん収納があまり上手でないと考えている。出したらしまうという単純なことなのだが、日常生活の中では億劫になることは理解出来る。それと、キッチン家電、特に冷蔵庫などはデザインの良いものが少なく、特に多くの方が求める大型冷蔵庫となると日本製であれば壊滅状態だと感じている。かといってヨーロッパ等のデザインの良いものは価格が日本製の倍以上する。他のキッチン家電、キッチンウェアにしても同じことが言える。その場合、僕は部分的に隠すことにしている。例えばキッチンの続きにコの字型の袋小路を作りその奥に冷蔵庫置き場や電化製品置き場を作る。その際にパントリー兼用になるような棚も作ります。パントリー独立の部屋ではなく兼用収納庫と考えるのが望ましいと思っています。

結論
本当に必要かどうか、設計者とよく話し合って決めてください。なんとなく「あれば良いかなぁ、、、」では後悔します。
独立したパントリーはそこそこの広さが必要です。限られた敷地での計画に中ではいろんなことが考えれます。
柔軟な頭でいろいろな意見に耳を傾けながら勉強していってください。