家づくり失敗談 

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家づくりでの失敗
未だに僕の中で思い出される失敗が幾つかありますが、そのうちの二つを紹介させていただきます。
一つは内装の仕上げについて、

今でも壁の仕上げは塗装や塗り壁が良いと考えていますが、この手の自然素材はどうしても割れが生じます。なので、毎回説明させていただいているのですが、その物件の時もお施主さんは漆喰の塗りを希望されており、「自然素材なので割れますよ」という事を伝えると、お施主さんは「そんな雰囲気も大好きです」と答えられたので、了解済みとして進めていました。竣工後しばらくたってボード面に沿って小さな割れが生じたのですが、僕は了承済みとして気にしていなかったのですが、お施主さんからクレームとして話が来ました。
お施主さんからすると「割れ」は数十年たってできるようなもので、イメージとしては古いヨーロッパの古民家のような雰囲気のあるものをイメージされていたのです。
しかし、最初の割れはそのような「良い感じにエイジングされた感じ」ではなく「ただの割れ」なのです。勿論数十年経てば自然素材は良い感じに育つのですがそこに至るまではただの割れになるのです。とりあえず説明をさせていただき、割れ部分については工務店さんに補修していただきました。
左官壁や塗装壁の場合、下地の状況、気候、職人の技量、、いろいろなものが影響しますので、絶対割れそうな壁に数年たっても割れがなかったり、こんだけ下地を強固にして目地も入れたのだから割れないだろうという壁が割れたり、予測がつきにくいのです。
以降、そのあたりの説明をさせていただいた上で図面を進めさせていただいています。
勿論クロス貼りにもメリットとデメリットがありますので、ご一緒に説明させていただいています。

もう一つはバリアフリー工事です。
知人の母親がリハビリが必要な状態となり、その住宅の改装をさせていただいた時のことです。
打ち合わせの段階では良くなる前提で設計を進めました。床の段差をなくし、浴室やトイレの扉は車椅子でも入れるように大きく、回転できるスペースも作りました。
結局それらは一度も使うことがなかったのです。知人の母親は寝たきりのまま亡くなられたのですが、浴室は介護サービスの車が来ます。外に出る時は掃き出し窓から直接迎えに来ます。基本室内で動かないので段差は関係ないのです。
勿論、知人はそれらを踏まえて理解していただいているので、感謝はされていますが、僕自身のバリアフリーに対する考え方が大きく変わりました。
100人いれば100通りのバリアフリーがあり、例えば将来的に車椅子生活を想定したとして、設計しても、「車椅子で動けるということは幸せな方なのだ」ということが身にしみて分かったのです。それは自身では不幸な未来だとしても、意思があって動ける状態というのは恵まれた未来なのです。
この物件の場合、失敗とは言えませんが、「何が正しいのか?」ずっと喉の奥に引っかかった感じです。以降僕は安易なバリアフリー対策については現在の状態を見極めてそれに即した設計が大事なのだとか変え、将来的なことは「その時になってから考えるのが良い」と思うようになりました。
これはバリアフリー設計以外にも言えることで、あまり遠い未来や予測のつきにくいことを想定して設計しないのが良いと考えています。大事なのは過去と現在と少し先の未来だと思います。

お家作りのご参考になれば幸いです。