支持層

ユーザー 林泰介建築研究所 林泰介 の写真

時事ネタです。
最近テレビで目にする機会が多い言葉です。支持層とは簡単に言いますと硬い地層のことで、柔らかい地盤の土地に建物を建てる場合そのまま基礎をすると、砂場の上に重い物を置いた時のように沈んだり傾いたり安定しないのです。なので柔らかい地盤の下にある硬い地層まで探して杭を打たなければならないのです。
僕の場合はニュースのような大きな物件ではありませんがどんな小さな住宅の設計でも地盤調査は必ずしてもらいます。木造の場合はサウンディング試験程度(簡易)鉄骨やRCの場合はボーリング試験を推奨しています。試験の本数、場所、等々によって値段は違いますが、一般的な木造2階建であればサウンディング試験が5箇所で5万円程度の出費ですのでお施主さんに説明してしていただいています。
土地購入前にわかればいいのですが、そこまで不動産屋さんは親切ではありませんので、土地購入後から建築設計までに試験をしておくのがベストです。
購入前に地盤の程度を知りたい場合は近隣のデーターを探したり(参考程度ですが設計事務所等は職業柄データーとして近隣の近似データーが分かる場合があります)、周りに立っている家を見るとある程度分かることもあります。またその場所が古くからの住宅地なのか、沼地とかの造成地でないとかを調べるのも方法です。
実際に地盤が悪かったとしても木造2階建の住宅レベルではあまり気にする必要はありません。多くの場合は地盤改良程度で杭を打つことはほとんどありません。
反対にRCの場合は住宅レベルでもほとんど杭を打たなければならないと覚悟をしたほうが良いです。鉄骨造は僕の今までの経験では半々です。
しかし今回のように大手の大規模なマンションでデータで改ざんがされている場合は見分けることができません。絶対にあってはならない事です。
現実的に工期がない物件にてお施主さんが簡単に考えていて地盤調査をされていなかった場合、慌てて地盤調査をして地盤改良に必要があった事がありましたが、お施主さんに説明して工期が遅れる事の了解をいただいて地盤改良をしました。
住宅の建て替え等をお考えの皆さんは、出来るだけ工期を十分にとって計画してください。お願いします。
僕の地元は大阪ですが、基本的に大阪城のある上町台地を中心にだんだんと地盤が悪くなっていると言われています。大昔は四天王寺の向こうはずっと沼地でそれ以降も大阪は川だらけで現在は「堀」とか「橋」とか名前しか残ってないとこも多くあります。そういえば「地名」も地盤を判断するヒントになります。
参考写真:ボーリング試験中