あたたかな木の住まいづくりのために(マンション編 part10)
暫く間があいてしまいましたが、このシリーズも10回目を数えることが出来ました。長く続けて行くことを目標にしていますので、更新のペースは週1~2回ですが、お付き合いの程、宜しくお願い致します。
さて、区切りの10回目は内装壁材についてです。前回はクロスのお話でしたが今回は漆喰についてのお話です。最近では既調合の商品も多く販売されていて手軽になった感はあります。
昔は接着剤として海藻由来の、ふのりを焚いて漆喰を作っていたと言いますから手間の掛かる仕事であったことは言うまでもありません。最も今もその方法でされている方もいらっしゃると聞きます。
内装壁に使う場合は仕上げ材として薄く塗られていて、その白さとコテ跡の具合が光の陰影によって絶妙な表情となり現れます。私も好きな材料の一つです。
性質としては水酸化カルシウム・炭酸カルシウムが主成分で、炭酸カルシウムが二酸化炭素を吸収しながら硬化する性質を持ちます。調湿性があると言うことを大々的に謳われている方もいらっしゃいますが、塗り厚僅か数ミリ程度ですので過度に期待するのもどうかと思いますし、下地がボードの場合は尚更、土壁とセットで考慮される場合を除き、大きく調湿性が向上するとは考えない方がベターです。
とは言え、仕上がった現場の空気感はクロス貼りの場合に比べると確かに違うなあと言う実感はあります。感覚的なお話しか出来なくて申し訳御座いません。調湿に関しての研究は業界でも今一つ確立されていないようにも思いますし、私自信も勉強がおいついていない感はあります。しかしこう言った感覚と言うのは大事なものでもありますので又進展が御座いましたら、こちらでも述べて行きたいと思います。
以前、見学させて頂いた高知のお住まいでは、塗った当初はやや黄味掛かった土佐漆喰を使われていて、時間の経過とともに次第に白くなるとの説明を受けました。
最近ではDIYで塗れるような漆喰も出ているようですが、簡単に塗れる商品の場合は接着剤としてどのような物が使われているかよくご確認下さい。化学物質過敏症の方には使えないケースも考えられます。
写真は、既調合品の漆喰をボード下地の壁、天井に塗った「たつのの古民家リノベーション」です。かなり広い面積になりましたので白さが際立ちますが黒い梁を引き立てています。