スケルトン改修5題

ユーザー TAM建築設計室 新井敏洋 の写真

スケルトン改修は主構造を残し他を全て新たにすることですが、
建物の内容、構造や費用によりスケルトンにする部分は様々です。
制約が少ないものもあればたくさんの制約がうまれるものもあります。
要望の理想や可能性を追い求める楽しさのがあり、やりがいのある設計でもあります。
今までの設計の中から、用途も構造も違う難問5題をご紹介します。

RC造マンション、鉄骨造3階一戸建て2世帯、鉄骨造3階店舗併用2世帯、木造古民家、幼稚園のこども園改修についての事例をご紹介します。

1.RCマンションの2戸の住居を1戸にスケルトン改修

隣り合う2戸の所有するマンションの戸境壁が乾式工法のためつなげての改修が出来ないかとのご要望です。
戸境壁はマンションの共有所有のため、所有者の了解の取付が前提となります。
ここでは、住戸数が少なかったこと、管理組合がしっかりしていたことで可能となりましたが、全てがうまくいくとは限りません。
マンションの改修の場合は開口部、水回りが制約されるためそこを上手にプランニングすることが重要です。
またここでは玄関が2つになるため、玄関と勝手口というように役割をはっきりさせました。
断熱や防音などの室内環境の改善も大切です。

改修前図面

2.鉄骨3階2世帯住宅のバリアフリースケルトン改修

1階が駐車場と倉庫、外階段で2階玄関2階世帯、内階段で3階世帯の2世帯をバリアフリーリフォームしました。
1階は共用とし駐車場2台のほか、 玄関、クロークルーム、書斎(客室)、倉庫、トイレ、エレベーターを増床。
親世帯の2階には、エレベーターの他、新設サービスバルコニー、 植栽と外部空間を楽しむ新設インナーバルコニーを設けました。
エレベーターは建築設備のため検査済書と新設による構造的適合性が求められます。
今回の場合、確認申請のみだったため、既存の建物が確認に準ずる内容であることの調査報告を審査して許可を受け、
エレベーターの構造的適合性、そして増床、減床などが既存確認の範囲であり構造的にも問題がないという確認を受けました。
ある程度新築のようにあれもこれも盛り込んだ内容となりました。

施工中、インナーバルコニーの壁を設置

3.店舗併用2世帯のスケルトン改修

既存2世帯は玄関が3階にあり内階段で階下に降りる玄関共有型でした。
このうちの2階部分のスケルトン改修です。
2階への単独階段を設け2世帯を調度良い距離としました。
外階段外観も店舗に違和感のないようにしました。
一戸建てのためスラブの穴あけが可能となりました。構造的検討配慮は不可欠です。

施工中、外部階段の床開口をあける。

外階段と玄関ポーチ

4.古民家のスケルトン改修です。

築70年の民家の再生です。
古民家の木組みは材料の使い方とともに職人の知恵と工夫の詰まった味わい深いものです。
それを利用し堅牢で快適な住まいになるように設計者の知恵と工夫が試されます。

構造を残し解体。既存瓦で荷重をかけ変形を防ぐ。

5.幼稚園の駐車場を含む保育室をこども園に改修

用途転用の建築法令、こども園の許認可、福祉条例、入札等設計以上に書類が山積みとなりました。

改修前