あたたかな木の住まいづくりのために(マンション編 part12)

ユーザー 芦田成人 建築設計事務所 蘆田 成人 の写真

内装壁材も、もう一息。今回は 塗装仕上げ、つまりペンキ塗り仕上げです。

私共では「EP塗装」などと図面に書き入れるのですが、塗装にも色々と種類があり、「EP」と書いてある場合は、エマルションペイントと呼ぶ塗料を使用します。水性エマルションペイントは水で希釈でき、塗布後は水の発散によって固化し、表面にはほとんど光沢のない被膜を作るので漆喰に似た表情に仕上がります。耐水、耐アルカリ性にやや劣りますが、ほぼ無臭で内部の壁や天井などに使用されます。内装材に用いる場合、下地に凸凹があるとその影響をまともに受けてしまうために不陸調整作業が必要となります。不陸調整作業が命の材料とも言えますが根気の要る作業のため塗装自体をご自身でされるにしても下地調整はプロに任せましょうと進言させて頂くことが多くあります。因みに私共の事務所の壁も、このEP塗装仕上げです。

他には「SOP塗装」などと書かれている場合は「合成樹脂調合ペイント」のことを差します。いわゆるペンキのことで、ホームセンターなどでDIY用として販売されているペンキの多くは、このSOPであることが多いようです。主に構造鉄骨部の塗装に用いられることが多いです。最大の特徴は速乾性の高さと、ウレタン樹脂塗料等と比較すると価格が安価でコストパフォーマンスに優れるという大きな利点を持つ点です。
但しSOP塗装で仕上げた塗装面は耐久性が低いという大きな欠点を併せ持ちます。
主に使用される鉄部の塗装であっても風雨にさらされる屋根部や屋外部では耐久性が更に低下するため塗装範囲はできる限り屋内部に限定するなどの配慮が必要です。木部への塗装に使用する際も同様の理由から屋内に限定して使用することが望ましい材料です。

塗装仕上げは、下地調整作業を除きDIYで挑戦するなら、最も取り組みやすい材料と言えます。初めて挑戦される場合は、失敗しても目立ちにくい収納や納戸の中から挑戦し、慣れた頃にメインの部屋へと順番に進められると良いでしょう。

写真は、ご自身で塗装作業をされた「須磨壱の家(マンションリノベーション)」の玄関部分です。