小さな家のメリット

ユーザー 桑原建築設計室 桑原 廣 の写真

家の大きさは、住む人の欲望を表すと思います。悪い意味ではなく、
空間の大きさを把握出来る能力(感性)が大きいか小さいかではないかと
思います。欧米の豪邸などの一部は、住人が、家の大きさを把握
出来なくて、展示場と化しているものもあります。日本の住宅展示場が
まさしく、来場者の要望の平均値を全て見せようしています。
家を建てることの意味を考えれば、家は生活の一部であり、切り離せない
ものです。本来は、見せびらかすものではないと思います。
コルビジェの母の家と呼ばれる住宅は、両親のために作った物で、
約18坪程度しかありません。しかし、使いやすく、見栄を張る部分は
ありません。
写真の家も高齢の方の住宅です。要望は頑丈で、使い易く、
シンプルな家にして欲しいとのことでした。約24坪の小さな家です。
外観は、最小限の開口と庇、無駄なデザインはありません。
バルコニーもありません。管理しにくい部分を無くし、機能を
しぼりました。小さな家には、自分で家を把握出来るので、
維持コストも安くすみ、省エネにも通じます。家族のコミュニケーション
も濃密になります。確かに、狭いとストレスを感じるかもしれませんが、
人生の経験が増えれば、生活をシンプルにすることが出来ます。
建て売りなどは、売るために、デザインが過剰になっています。
もう一度生活を見直して、家を建てる時は、自分の把握出来る家を
目指してはいかがでしょうか?

シンプル居間