深い軒のメリット

ユーザー 桑原建築設計室 桑原 廣 の写真

現在では、深い軒を持つ建物は、寺社仏閣や公共建築しか見られなく
なりました。軒は、建物に陰影を付け、デザインには重要です。しかし、
建築基準法等の規制により、軒は、斜線制限や床面積の算入
(1mを越える軒は面積に算入)、また、敷地面積の有効利用のため、
軒は小さくなる傾向があります。
深い軒は、建物にとって、様々なメリットがあります。軒は、外壁を
風雨から守り、耐久性を増します。さらに、軒が深いと窓ガラスの汚れが
少なくなり、メンテナンスに有効です。また、窓を開けて置いても、
雨の吹き込みがありません。軒は太陽光をコントロール出来ます。
90㎝以上外壁より軒が出ている場合、日本の夏には、室内の直射光を、
防ぐことが出来ます。より深い場合、西日の制御にも有効です。さらに、
軒が深い場合、寺社、仏閣のように、横トイを省略出来ます。
(雨だれが外壁を汚さない)
しかし、軒が深いと、台風、突風等の風の影響も受けやすくなります
ので、注意が必要です。下記の写真の建物は、軒を鉄骨で補強して
あります。深い軒は、建物に有効に働きますが、構造や耐久性に
大きく関係しますので、専門家と相談してから採用してください。

片流れの屋根の軒