深い軒のメリット

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

深い軒のメリットは、大きく分けて二つあると考えます。

ひとつは、夏の時期における強い日差しが屋内に入るのを遮るというメリットです。

いくら日当たりがいい家でも、夏の強い紫外線が屋内に入ると、床のフローリングも色褪せて痛みやすく、家具等のインテリアにとっても良いことはありません。

夏は太陽高度が高いため、ある程度の長さ軒を出せば屋内への日差しは防ぐことが出来ます。

しかし、直射日光が入る方向に強い日差しを遮る樹木や建物が無いと、太陽の強い日差しは屋内に入り込んでしまいます。

そのような点から、深い軒の出があることで夏場の強い日差しの進入を防ぐことが出来ます。

深い軒のもうひとつのメリットは、外壁材を保護するという点が挙げられます。

外壁材がガルバリウム鋼板やセメント系サイディングといった乾式工法の場合は、耐久性があるのでそれほど軒を出す必要性はありませんが、外壁材がいわゆる湿式工法のモルタル下地の吹き付け仕上げや左官仕上げや乾式工法の中でも杉板などの木製板材を貼った建物では、乾式工法による外壁よりも耐久性がなく、定期的にメンテナンス(補修)を行わないといけないので、外壁を直射日光や雨などから守るために深く軒を出すことが有効な手段なのです。

また他に意匠的にも深い軒がいい点もあります。
それは、建物全体に深い軒により陰影を付けたり、建物の水平性を強調したりする効果もあります。

以前、私が設計した写真にある平屋建て住宅でも真っ直ぐな深い軒を出して、水平性を強調しつつ、軒の下に設けた欄間のような横長のガラス窓からは、夜に屋内の光が漏れて、それがシルバー色に塗装された軒天に反射して光が柔らかく行灯のように表現したくデザインしました。