設計料の算定方法

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匿名ユーザー (未認証ユーザー)

設計監理報酬(税別)の算定法には概ね下記の3方法がございます。

①建築士法25条、国土交通省告示15号(平成21年)により規定される業務報酬基準
②施工者の請負工事費に対して乗じる%にて算定する業務報酬
③確認申請での面積に対して乗じる面積単価にて算定する業務報酬

①…他の専門的サービス業(医師、弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、宅地建物取引士、税理士、、、)の報酬規定を鑑みると、法律の範囲内(上限)で設計監理報酬を得ることが適当だと思われますが、現実にはこの方法を採用している建築家、設計事務所は稀で、スター建築家の一部か、公共工事の入札見積時の根拠となっています。建築士法が改正され契約後の業務遂行が義務付けられる方向に進んでいますが(←現在は規模限定があります)、現在ニュース等で騒がられている保育士以上に劣悪な業務環境にある設計専業統括設計者(=建築家)の処遇改善が、度重なる建築偽装を無くす為にも必要だと感じています。下記の例をご覧頂くと一見、高額に思われるかもしれませんが、会社として頂く報酬でありサラリーとしては1/3の配分になります。また、算定では約5ヶ月(実質的には約1年間)になりますから年間では2.4物件です。更に、統括・構造・設備が分け合う金額です。よって、実質的には休日も殆ど無く毎日12時間以上の勤務でも、サラリーとしては470万を分け合うことになります。専門的サービス業では最低レベルでこの算定方法でも適当だと思えますが。。。
例:木造2階建て戸建住宅100㎡(約30坪)の場合の設計監理報酬(平成28年度)
  (789時間・人÷8時間/日×29,900円/日・人)×2.0=5,897,774円(税別)

②…一番普及している算定方法です。8%~20%(平均10%)と建築家により幅があります。長所は、極端に規模が小さい時でも工事費としてかかった実質的に規模に設計監理費がリンクするので標準的仕様な場合は適正な金額になることが多いです。短所は、競争見積を行なわないと設計監理業務の報酬を設計完了時に決めることになります。また、建築主の立場としては、標準的仕様ではない高級住宅やローコスト住宅の場合、ただ高級材料を使うだけで設計監理報酬が高くなったり、逆に、ローコストに努める設計を依頼しても設計者自身の首を絞めることになるので精一杯応えてくれるか判らないことになります。これまでは、設計監理契約を見積時まで行なわない事務所も多く普及していましたが、これからは法律制定もあり、徐々に減少していくと思われます。ルーティン化した設計を行わない場合は、年間4件ペースで設計監理をしても720万円の売上げとなり、サラリーは1人事務所の場合で240万円程の年棒としかなりません。如何に儲からない業界かお察し頂ける幸いです。
例:木造2階建て戸建住宅100㎡(約30坪)⇒施工床面積120㎡(約36坪)の場合の設計監理報酬
  工事標準坪単価(各地異なりますが、全国平均では60万円/坪)×36坪×10%=216万円(税別)

③…最近増えつつある算定方法で、弊社も採用しています。②の欠点を改善する為にも効果的な方法です。使用する算定面積は弊社の場合、建築基準法の延べ面積を使用していますので、ハウスメーカーが工事費坪単価算定時に使用する施工床面積や、構造設計時の構造計算面積とは異なり、面積が小さくなりますし、かつ、外構工事等の面積に含まないので、②よりも安価になるケースが多いです。

(因みに、弊社等建築家が使用する工事費の坪単価も法定の延べ面積を使用していますし、住宅メーカー等が別途とする外構工事費やその他工事費も全て含んだものとなっています。つまり、坪単価算定の分子も分母も異なるのです。最近の実績例では、弊社実績坪単価51万円/坪がメーカー算定の坪単価では42万円/坪になりました。)

例:木造2階建て戸建住宅100㎡(約30坪)の場合の設計監理報酬
  弊社の場合17,000円/㎡×100㎡×=170万円(税別)

ついでながら、、、
この様に事務所により算定方式の異なる設計監理報酬ですが、その支払い条件も事務所により相違致します。弊社では、設計監理契約では契約時に25%、基本設計承認時に25%、実施設計承認時に25%、監理完了検査時に25%をとしています。

また、家具等のデザインや駐車場の計画等比較的小さいことだけへの対応は工事費の10%としています。

弊社の報酬ではない部分は、基本的に別途です。例えば、審査機関への手数料等。
別途料金や工事の諸費用の詳細は、弊社のホームページをご覧下さるか、問合せ下さいませ。
☆別途料金について
  http://www.archilab-can.com/faq.html#faq02
☆諸費用について
  http://www.archilab-can.com/faq_02.html#faq03

また、弊社は、敷地や要望(予算・時期などの諸条件)の聴取、及び、インターネットや電話での行政事前調査は無報酬で行いますが、ファーストプランの提案は企画調査業務契約(仮契約)<料金5万円~30万円/提案>後に致しております。上記をお読み頂くとご理解頂ける思いますが、弊社は設計監理報酬自体をかなり安価に設計しておりますし、依頼の意思が全く無いお客様に対してのプラン作成は弊社のクライアントに対してもご迷惑をお掛けすることになりますので応じることが難しいです。

プロパーの業務とは別に、弊社は(公社)日本建築家協会に属していて、建築物の質の向上と建築文化の創造・発展に貢献することを目的として、全国の建築相談は無料にて対応させて頂いておりますので、何か有りましたらご遠慮なくそちらをご利用くださいませ。その主旨で、弊社への直接の建築相談だけでなく、この建築家紹介センターさんの建築相談サービスご利用の方々へも時間が許す範囲で殆ど全てにご回答させて頂いております。

宜しくお願い申し上げます。

Archi-Lab.CAN 建築加塩設計株式会社 加塩博之 拝
ArchiLabCAN@ybb.ne.jp tel.099-296-1156

=豊かな空間創造、幸福な時間=