燃え代設計(都会で木の家を作る方法)
私が多く仕事をしている大阪市や大阪府下の市では、ほとんどの地域が準防火地域になっています。
準防火地域で木造3階建てを建てようとすると、普通より厚い石膏ボードで柱や梁を包んでしまうことになります。火事の時に燃えにくくするためです。
でも、せっかくの木の家でも、全部包んでしまったら木の家なのか何の家なのかわかりません。
そこで、合法的に木の家らしさを見せるための工夫が「燃え代設計」です。
簡単に言うと、「万が一火事になって燃えても、残った部分で充分に家を支えることができるくらい大きな木材を使う」ということです。
でも、木なんだからすぐに燃えちゃうでしょ と思われますか?
ところが、ある程度厚さのある木は、そう簡単には燃えないんです。
柱などが燃え進む速度は、だいたい1分間に0.6mmと言われています。
だから、30分たっても表面から18mmまでしか燃えていません。消防体制の整っている日本の都市部では、ほとんどの火災が30分以内に消火されているので、これプラスアルファーの余裕があれば、建物が倒壊したりしないということです。
法律では35mmの余裕をもたせなさいということになっています。普通の柱が105mm角だとすると、4面とも見えているような独立柱なら 35+105+35=175mm角の柱にすれば、石膏ボードで包まなくてもOKです。
下の写真の梁は、そういう設計で大きくなっています。向こう側の柱の幅と比べてもらうとよく分かります。
写真ではちょっと伝わりにくいのですが、実物をみると、ど~んとした貫禄があります。
実はこの燃え代設計以外にも、準防火地域の3階建てを木の家にする方法は二つあります。一つは開口制限法、もう一つは外壁耐火法です。
開口制限法はまた別の機会に書くことにして、ここでは外壁耐火法について。専門的には「ロー1準耐火」と言います。
普通は外壁を耐火構造にすることは、木造ではできません。鉄筋コンクリートや鉄骨造になってしまいます。
でも、木の家にこだわり抜いている私は、たぶん全国でもあまり例が無いと思いますが、外壁耐火法で設計したことがあります。設計事例にある「守口の家」です。
ただし、この方法は、ものすご~~~く施工が大変です。
やってみて思い知りましたので、ちょこっと書きましたけど お勧めしません。
やはり、一番簡単に 準防火の木造3階を木の家らしくできるのは、燃え代設計です。
ぜひ機会があればチャレンジしてみて下さい。
下の写真が完成したところです