数寄屋
「数寄屋」というと、桂離宮や如庵のような茶室建築の名称と思っている方が多いと思います。
「数寄屋」と一口に言っても、安土桃山時代とそれ以降とでは、趣が違っています。
安土桃山時代に生まれた数寄屋造りは、書院造が確立され、身分を明確にする役割を持っていましたが、その後茶人たちが「格式ばった意匠」や「豪華な装飾」を嫌い、軽妙な表現へと移りました。
「虚飾を嫌い、内面を磨いて客をもてなす。」という茶人たちの精神を反映し、質素ながらも洗練された意匠となっているのが、江戸時代までに確立された数寄屋造りです。
「数寄屋」とは、余分なものが排除された、デザインしすぎない美しさです。
ですから、「数寄屋」の意味を解っていれば、洋を取り入れても「数寄屋」は造れるということです。
心
躙り口に代表されますが、暖簾をくぐるときも同じで、誰もが頭を下げます。
華奢な引き戸は、そっと引きます。
花、草、水から、それを生けた主人の自然を愛でる心を汲み取ることができます。
特徴(踏み込むときりがないので簡単に)
清めるための蹲。鞍馬石というきまりはありません。
躙り口。へりくだった姿勢の表現。
自然を取り入れた模様。梅、松、木瓜、猪の目、ひさご 等。
龕破床、室床、蹴込床 等。
火燈口。利休の偶然の出会いから生まれた形状のようです。
竿縁天井。格天井。
竿縁天井の際は、床差しにならないよう気を付けてください。
雑木の庭。中待ち。
アンシンメトリー。これは日本文化の特徴です。
「数寄屋」は、人の心が創るものです。数寄屋造りは、あくまでも、その心の受け皿です。舞台です。
華美でない、最小限のデザインで機能と心を表現するのが「数寄屋」です。
杉山デザイン室一級建築士事務所 杉山 登忠之
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