◆「二世帯住宅 成功例-1」(3種類のケースを紹介します)
我が家は二世帯住宅(鉄筋コンクリート造、2階建)・(家族5人、夫婦+子供+両親)を設計して住まい始め19年経過しました。
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時の経過と共に「我が家の良い点、改善すべき点(当時は良くても)」が明確になり、その経験をもとにお客様の二世帯住宅の設計に反映させていただいています。それほど二世帯住宅の設計は難しく、設計や完成後の時の経過の経験が重要であることを実感しています。
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二世帯住宅の設計依頼をいただいた時、最初にお施主様に確認させていただく事は、
「今回新築するにあたり、二世帯であらたに暮らし始めるのか?以前から二世帯で暮らしているのか?」
「若夫婦の奥様もお仕事をしているのか?」
「父又は母もお仕事をしているのか?」
「おのおのの世帯の夕食と朝食の時間は?」
「おのおのの世帯の入浴の時間は?」
等々・・・・・。
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特にこれから二世帯になるお施主様には、我が家の経験をあらゆる角度から説明しています。
現代の30台の夫婦は奥様も仕事をしている場合が多く、その場合おのずと夕食の時間が遅くなり、また両親がリタイアしている場合、夕方18時前後に夕食を済ます事が多いようです。こうしたケースでは、若夫婦の休日以外は夕食の時間は合わせることはできません。
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「世帯間の時差」は、「どこまで共有スペースにするか」によって、埋められる場合とそうでない場合に分かれます。つまり二世帯住宅の成否は共有スペースをどこまで設置するのか、又おのおの世帯のスペースのどの位置に共有スペースを配置するのかによって決定されると言って過言ではないと思います。
そこで二世帯住宅の典型とも言える3種類のケースを紹介させていただきます。
■ (1)玄関、水廻り、LDK等全てが別々の二世帯住宅 (完全二世帯住宅)
① 外観(夕景)
写真右の木製扉が子世帯の玄関扉。
左の木製扉が親世帯の玄関扉。
② 子世帯の玄関
写真右奥は駐輪スペース。
左は大型のサッシの向うに中庭(ライトコート)が広がる。
③ 子世帯の寝室
壁は珪藻土。シンプルで落ち着いた雰囲気。
④ 子世帯のLDK
写真中央は弊社の設計で製作したダイニングテーブル一体式のキッチン。
キッチンを囲んで10人程度座ることができるすぐれもの。
リビングの吹抜けの奥はロフト。
写真左、大型サッシの向うは中庭(ライトコート)上部をブリッジが架る。
ブリッジの向うはウッドデッキが広がる。
⑤ 親世帯の玄関
写真左は客室も兼ねた和室。3枚障子は写真のように引き込むことができるので、玄関が広々感じる。
玄関は建物の北側だが、トップライトを設置することでこんなに明るい玄関に。
⑥ 親世帯のLDK
コンパクトなLDKながら、吹抜けがあるので心地よい空間。
■ (2) 玄関、シューズクローク、客間(和室8帖)、階段が共有スペースの(店舗併用)二世帯住宅
⑦ 外観
1階、左が店舗(寿司店)、右が共有スペースの玄関と和室。
2階、左が子世帯スペース、右が親世帯スペース。
⑧ 玄関
広々とした明るい玄関。正面奥がシューズクローク。扉は姿見用鏡がついている。
らせん階段の上部から光が降り注ぐ。
⑨ 客間(和室8帖)
4枚の障子は、普段引き込んで玄関と一室で、広大で趣のあるスペースをつくっている。
⑩ 子世帯のLDK
子世帯スペースは中庭(ウッドデッキ)を囲むようにLDK、家事コーナー、和室を設置。
オープンキッチンに立つと全てが見渡せる。
上部は読書コーナーにもなるロフト。
⑪ 子世帯の浴室
わずか1.5帖程度のバスコートを設置するだけで明るく、風通しの良い、開放的な浴室に。
(外部からは一切見えない)
⑫ 親世帯のLDK
床を濃いトーンのフローリング、畳を栗色にすることで落ち着いたスペースに。
■(3) おのおのの世帯の寝室とウォークインクローゼット以外、全て共有スペースの三世帯住宅
⑬ 外観
シンプルモダンな外観。
家族4台の車が駐車スペースに納まる。
⑭ ライトコート(中庭)
写真左-LDKと、右-祖父母の寝室(和室8帖)の間にライトコートを設置。
三世帯、様々な部屋に光と風をもたらす。
⑮ LDK
三世帯(4世代)8人が和気あいあい、朝食も夕食も家族全員で食べているそうです。
⑯ LDK
プロジェクターの大画面、迫力の音響、家族全員でテレビや映画を観ています。
スクリーンは白い壁をそのまま利用しています。
⑰ 子供室
姉妹のかわいい部屋。長女が中学生になる時簡単に2部屋に区切れるよう、照明、そのスイッチ、エアコン(片方は配管のみ)は2つずつ設置。
⑱ 子世帯の家族室
子世帯の寝室と子供室の手前に、ミニキッチン付きの家族室を設置。
子世帯(4人)は夜遅い時間になるとLDKからこの家族室に移りくつろぐ。
⑲ 屋上
22帖ある屋上は、バーベキューや花火大会には最高のスペース。
手摺壁を少し高めにしたので、周囲の目を気にすることなく、夏には子供用プールも設置するそうです。
写真中央奥と左のドアは、それぞれ親世帯と子世帯小屋裏収納の入口。屋上から出し入れできるのでとても便利。
(子世帯、親世帯にはそれぞれウォークインクローゼットと小屋裏収納を設置)
⑳ シューズクローク兼駐輪場
玄関の隣にあるこのスペースは、家族全員のくつ収納、自転車置場、祖父のセニヤカー置場、傘置場、コートや雨カッパ置場になっておます。
壁は水が染みないメラミン貼りのため、濡れた傘やカッパも掛けられます。
21. 1階便所
祖父母が主に利用するこの便所は、大開口のハンガー引戸でいざ介護が必要になった場合、手摺さえ設置すれば介護用トイレとして機能する。
この便所も含め、1階の全ての壁はどこに手摺を取り付けても耐えられるように、壁下地材を丈夫な合板にしました。