セルロースファイバー

ユーザー 芦田成人 建築設計事務所 蘆田 成人 の写真

セルロースファイバーとは、新聞紙を細かく裁断し防腐防蟻処理のためにホウ酸を配合したもので、住宅建築の現場では断熱材として使用されています。
又、ホウ酸は難燃効果を発揮するために、簡単には燃えません。
セルロースは自然界に一番多く存在する炭水化物で木材の主成分の一つでもあります。
ファイバーは繊維ですので、これらを足した造語なのでしょうね。

セルロースファイバーは製品自体の比重が重く、断熱材としての効果と併せて吸音効果も高いために防音性を必要とする部屋に使用することも有効です。
実際に私共ではピアノ教室を併設した住宅で居室部分とピアノ教室との防音対策の為に使用しました。

その他にも数件の住宅でも使用した感想ですが、部屋に入ると空気感が変わります。
音が吸い込まれると言うのが正しいのかは分かりませんが、そのような感覚がします。
メリットを挙げるなら断熱材と防音材を併用できる点が大きいように思います。

断熱材自体の熱伝導率は他の繊維系断熱材などと同等か、やや高め(熱を伝え易い)です。
又、セルロースファイバー自体には吸放出性があるので壁体内結露しないと言う方がいらっしゃいますが、壁体内結露をするかしないかは材料単品の性能では決まらず、壁の構成(複数の材料の組み合わせ)によって決まります。

以前、とある現場でセルロースファイバーなら壁体内結露しないので、その対策は必要ありませんと言う営業マンがいましたが、私は事前に「結露の定常計算」をして、この組み合わせでは壁体内結露する可能性があることを把握していましたので、それに対しての対策は必要ですと現場に伝えていました。そこで、その営業マンに、定常計算して確認するように伝えた所、後に謝ってこられたことがありました。

そうです、その営業さんは商品を売るプロではあるけども、そのような計算を、ご自身では出来ない方だったのです。ですので不勉強な建築家は営業さんの言葉を鵜呑みにしてセルロースファイバーなら壁体内結露しないと言う方が居るのも事実です。

正しい知識を身に付ける、若しくは正しい知識を身に付けた方と共に家づくりに望まないと後悔することを感じた出来事です。