緑 植栽
住宅を造るときにたいてい置き去りにされるもので重要なことがあります。それは、外構工事における植栽のことです。外構工事というのは、建物の周りの工事のことで、たとえば建物周囲の地面の仕上げ方や敷地の境界に囲いを作ること、あるいは駐車スペースの造り方など、住居そのものではない、とりあえずは後回しにしても日々の暮らしにはさほど困らない部分の工事のことですが、この工事の中で造園工事の範疇に入る植栽は外構工事の中でもさらに後回しにされることが多いですね。
私の仕事では、この植栽-緑というものをとても大事にしています。建物本体のご予算を少し削ってでも緑-植栽にお金を回していただくようにお願いしています。住宅が出来上がったときにこの緑があるのとないのとでは、その佇まいにとても大きな差が出ることを様々な手段を使って説得いたします。最初、なかなかご理解を得られないお客様でも、最後には納得していただき、完成して実際にお住まいになると皆様お喜びになられます。
緑は心を穏やかにし、日々の暮らしに時の移ろいを目に見える形で、あるいは葉擦れの音で、さらにその香りで私たちの五感に様々な豊かさを与えてくれます。雨の日の葉に落ちる雨音、五月の風にそよぐ新緑の梢、地面を埋め尽くすような花びらや枯葉等々すべてが美しいものです。もちろん、葉が落ちてそれらをきれいに掃除したり(常緑樹でも葉は落ちます)、伸びすぎたりした枝を落とすなど、手入れは必要ですがそれにもまして彼らが与えてくれるものは素敵なものです。
私が選ぶ樹木は自然樹形で美しいもの、特に刈り込まなくてもよいものなどで、手入れがなるべく少なく、なおかつ住まい手ができるようなものにしています。お住まいになる時には植栽のお手入れの冊子をそのお宅ごとに作成してお渡ししています。
上の写真は玄関までのアプローチの植栽、飛び石の周りは山肌(山の土でいろんな種子を含んでいます。別のブログ(山肌)をご覧ください。)、左が和室前の目隠し用植栽、足元はツワブキなどでグランドカバーしている。ポーチの屋根にはヘデラ。
下の写真は和室前の中庭の植栽、マルバノキやヒメシャラなどを植えている。