分譲マンション
分譲マンションとは、集合住宅のうち建物をいくつかの区画に分けてそれぞれに完結した住宅の機能を設けた建築のうちで、そのそれぞれの区画を賃貸ではなく所有権を持たせることで販売されたものを言います。
その歴史は、東京四谷の1956年分譲の四谷コーポラスといわれています。これはエレベーターもなく、建築的にはあまり興味を引くものではないかもしれません。分譲マンションが広く認知され始めた第1号は、東京の表参道にあるコープオリンピアではないでしょうか。これは1965年分譲で、24時間全館空調やフロントを設けることや展望のよいプールなどもあり、メゾネットタイプの住戸形式などで、ル・コルビジェの設計思想を踏襲したようなコンセプトで造られ、現在も街並みに素敵な佇まいを提供しています。現在の分譲マンションと比べても、その設計思想や設備については全く遜色がないどころか、これほどのものは現在でもなかなか見当たらないほどです。
統計上のことにも少し触れておきましょう。平成27年度の国勢調査によると、全52,461,000世帯のうち共同住宅は2241万世帯で42.7%と一戸建ての55.2%に次いで多く、年々増えてきているのが実情です。そのうち、5,276,000世帯が分譲に住んでいますので、共同住宅住まいの世帯の約23.5%が分譲マンション住まいということになります。首都圏、特に東京では分譲マンション住まいが賃貸物件でない自己所有物件に住んでいる人のうちでは一戸建ての59.1%に対して40.1%という高い数値になっています。
ただ、これからの住まい方を考えると、長くその住宅に住むというよりは、人生の変化に応じて住まう器を変化させて対応していくということが多くなるかもしれません。
その場合に、分譲マンションの所有権移動についても簡便な方法が求められるようになるかもしれません。