「よんごうもん」でいいですか?

ユーザー 木の家プロデュース 明月社 山岸飛鳥 の写真

ウチの事務所では、すべての建築物を構造計算している。

平屋でも2階建てでも、法的にな義務は無いけれども、家という構造物を計算無しで建ててしまって良いのか? という違和感が拭えないので、全部計算。
 
そのたびに外注に出すと費用もかかるし、途中でちょっと間取りを変えたくなったりしたときに、いちいち外注先に謝って変更してもらわなければならない。
ひじょ~に煩わしい。
 
なので私は、設計から構造計算まで自分でやっている。
自分でやる分には、納得いくまで何度でも間取りを調整できるし、なにより安心だ。
 
しかし巷を見渡してみると、いまだに木造住宅は「よんごうもん」が圧倒的に多い。
「よんごうもん」とは「4号特例」、正しくは 建築基準法6条1項4号に決められている建築物で、2階建て以下・延べ面積500m2以下・高さ13m以下・軒の高さ9m以下の木造建物のこと。
要するに、2階建ての木造住宅は、ほぼ全部が「よんごうもん」になる。
 
「よんごうもん」は 構造計算無し、それに替わる壁量計算の確認申請で提出義務無し、ということになっていて、ありていに言えば、構造計算を省略して大工や工務店に便宜を図っている法律である。
逆に言うと、家を作る住み手には、何のメリットもない。
 
そんな酷い法律は早く変えた方がいいんじゃないか と誰もが思うだろう。
実際、2008年から国交省は、すべての建築物に構造計算を義務化する準備はしている。が、、、業界団体の大反対で、まったく実現の目処は立っていない。。。
 
こちらの日経ホームビルダーの記事を読んでいただくと、その実態がよくわかる

被災者を苦しめる「4号特例」 2016/06/03
 
被災者を苦しめる「4号特例」
日経ホームビルダー 2016/06/03
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/knpcolumn/14/505663/053100012/

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さて、そんなわけで、「よんごうもん」でおこなう壁量計算という簡易な構造チェックは、私はほとんどしたことがないのだけれど、たまたま知人にたのまれて、とある「よんごうもの」の壁量計算をしてみた。
 
その間取り計画は、ひと目見て「構造計算したらアウトだな」というポイントがいくつもあって、当然ながら壁量計算もアウトになるかと思っていた。
しかし、なんと あっさりOK。
 
えっ そんなアホな とひとりでツッコんでしまった。

このブログを何人の方が見ていただくのかわからないけれども、「よんごうもの」はやめておいた方がいい。
工務店の手間を省くためだけの (思いっきり悪く言えば)公認手抜き とも言えるのだから。