開き戸と引き戸

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 内部の建具では開き戸と引き戸がよく使われます。住宅ではそれは主に木製のもので、それぞれに一長一短あります。今回はこのことについて書いてみようと思います。
 開き戸は丁番がついていてこの丁番によりドアを支えかつ開くことをスムースにしています。ドアを閉めた時にしっかりとドア枠に止められるようにラッチというもので枠に引っ掛かり簡単には開かないようになっています。さらに錠を取り付けて鍵を使わないと開閉できないようにすることもあります。この建具の良いところは比較的隙間なく閉じることができるため、プライバシー保護の観点からは便利なものです。遮音性を求められる部屋のドアにも工夫をすれば一層の密閉性を確保できるので、防音室などでは引き戸ではなくもっぱらこの開き戸が使われます。この建具はドアノブが付くため、脇に壁があるようなところでは、90度の開き方はできません。ノブは握り玉形式のものレバーハンドルの形式のものとありますが、これも一長一短です。レバーハンドルは軽い力で開閉できるという利点がありますが、衣服の袖口が引っ掛かりやすいといった欠点もあります。開き戸はまた、ドアの開くほうにある程度の引きのスペースがないと使い勝手が悪いということがあります。
 それに比べて、引き戸は横方向に建具を移動させて開閉するものですので、開閉の際にそれほどスペースがなくても使えるという利点があります。開き戸を階段を登り切った先につける場合に、手前に引く場合は階段の下がっていく段までのスペースがないと安全上不安が生じますが、引き戸の場合は、そういう不安はありません。また、引き戸は開け放しておくのにも便利な建具です。開けていても建具が邪魔になりませんから、ふだん開け放して使うことが多いような場所にはとても便利です。この建具には開けた時に壁の中に仕舞込まれてしまう、所謂戸袋付き引き戸(ポケットドア)もあります。引き戸に鍵を付ける場合は鎌錠(カマジョウ)というものを使います。また建具自体を上から吊っておく形式ですと床にはレールもありませんので、音も静かに開閉できるし、床の仕上げがつながっているので、開け放しておくような場所にはとても良いです。