モジュール
モジュール(module)という言葉は工学系ではよく使われます。建築におけるモジュールというのは、設計上の基本寸法体系のことです。
昔の日本では寸法は尺という単位でした。これは人間の体の大きさから造られていて、とても合理的なものでした。(欧米ではインチがこれにあたりましょう)近年では日本人の体も大きくなっているので、もう少し大きい単位でもよいのかもしれませんが、尺度としては大きさや長さをつかみやすい(イメージしやすい)寸法体系だったといえます。もちろん、この寸法体系は現在では学校でも教えられていませんし、ほとんど使われていません。
3尺が約910mmになり、この基準寸法を使って設計していくことが日本の住宅などでは多いです。910mmの間隔で縦横に方眼を描き、その上に間取りを描いていくことで、秩序だった経済的な住宅が生まれます。在来軸組み工法ではこれの半分455mm、1/3の303mmなどが910mmとともに使われます。2×4(ツーバーフォー)では1/2の455mm、1/4の227.5mmなどという寸法が使われます。そのほかに日本ではメーターモジュールというものが使われることもあります。これは文字通り1mを基準にしているもので、学校などで使う方眼紙が1cm間隔で枡目が作られていますので、この上に間取りを描いていけば、そのまま1/100の平面図が出来上がります。910mmモジュール用の方眼紙も販売されていますので、こちらを利用すると日本で一般的に使われている910mmモジュールの家の図面が1/100で描くことができます。
流通している建材はこの910mmモジュールに合わせて造られているものが多いので、経済的だというわけです。たとえば合板では910mm×1820mmという大きさが一枚の大きさですので、各住宅メーカーでもこの910mmモジュールで設計することが多くなっています。
910mmを1ピッチなどと表現することもあります。住宅の廊下の幅が1ピッチ、少し広くしようと思うと1.25ピッチ(1137.5mm)あるいは1.5ピッチ(1365mm)といった具合に設計するわけです。便所の幅も1ピッチで事は足りますが、これも広くしていく際には廊下と同じように1.25ピッチ、あるいは1.5ピッチというように広げていきます。
このように、設計する際にこの基準の寸法の上に間取りを作っていくことで、構造的にも合理的で経済的な家が作りやすくなるというわけです。