不同沈下

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 不同沈下とは、建物が何らかの原因で沈下する際に、一様に沈下しないことで、建物が傾いたりする原因となる危険なものです。イタリアの有名なピサの斜塔もこの不同沈下によるものです。
 建物が大地の上に建設されている以上、その大地、すなわち地盤の影響を受けることは必定です。しっかりとした均一な強固な地盤の上に建っていれば問題ないですが、軟らかい地盤などのような場合には様々な補強を必要とします。杭を打つという方法は皆様よくご存じだと思います。
 ピサの斜塔の場合は、均一な地盤ではなかったことが原因とされています。
 建物は重心はその建物の平面的な中心とは限りません。いわゆる偏芯しています。これらを考慮して基礎から下のことも考えないとならないわけです。
 沈下する場合でも、一様に沈下するのであれば被害は少ないですが、これが不均一に沈下すると、設備的なものにも大きな影響があり、建物の崩壊にもつながりかねません。
 このような不同沈下が生じた場合に、元の状態に戻すようないろいろな方法が考えられています。これを専門とする業者もあります。
 余談ですが、筆者がこの仕事についた初めのころ、ある工場というか倉庫のような建物で1階の土間は一様に沈下してもよいという設計をしたことがありました。費用を抑えるためでしたが、さすがに一般的ではありません。このように、設計の際には、コストとのバランスで適切な方策をとることが大事になるわけですが、不同沈下は必ず避けるようにするのはとても大事なことであります。