プレカット工法

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

 プレカット工法とは、木造の在来軸組み工法などで柱や梁などの仕口(継ぎ手部分)の加工をすべて工場で行い、それらの部材を大工さんが現場で組み立て行く工法のことです。伝統的な軸組み工法では従来、大工さんが現場や自分の工場で仕口を自らの習得した技術で材木に墨付けを行い、その墨の通りにノミやカンナで刻んで、材が強固に緊結されるようにしたものですが、現在ではほとんどプレカット工場でコンピューター連動の加工機で仕口を加工してしまいます。腰掛蟻継ぎ、大入れ蟻落としなどの仕口など様々な継ぎ手がありますが、このような手法では材の強度を保つために、梁や桁の高さは仕口により変化して、平らではないためにこれらの技法に精通していなければ、設計図もきちんとは描けませんでした。しかし、プレカットではすべての梁、桁は同じレベルで加工されるので、木造にそれほど慣れていない設計者でも設計できるようになりました。
 筆者の子供時代には、更地の建築現場で大工さんがノミやカンナで綺麗に仕口をこしらえているのを憧れをもって見ていたものです。いまでは、このような光景は目にしなくなりました。このようにして、伝統は消えていき、新しいものが生まれていきます。