金属屋根について

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金属屋根と言って思い浮かぶのは、寺社仏閣などでよく見かける緑青の美しい銅板葺きの屋根でしょうか?
それとも昔ながらの亜鉛めっきした鉄板、いわゆるトタンと呼ばれるものでしょうか?
銅板は、はじめは輝きを放ち、経年変化によって味のある緑青になりますが、高価な素材です。
一方、亜鉛めっき鉄板は、表面が経年劣化により腐食して錆びてしまいます。
そして現在、金属屋根としてよく使われる素材が「ガルバリウム鋼板」と呼ばれる金属板です。
屋根材のほかに外壁材としても使われることの多いこのガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛との合金で、鉄板をコーティングすることで耐久性が高く、優れた素材です。
ガルバリウム鋼板をはじめとする金属板が屋根材としてよく使われるのには、大きく二つ理由があると思います。
まず一つ目は、素材自体の重量が瓦やスレートなど他の屋根材と比べて軽く、住宅をはじめとする木造建築の構造を検討する上で、上部の屋根材の重量が軽いことは有利だということが挙げられます。
特に工場や倉庫などの屋根は、そのほとんどが折版と呼ばれる金属屋根です。
もう一つは、他の屋根材が地震などの揺れで動いたり外れたりしてしまう恐れがあるのに対し、
金属屋根は地震などの揺れにある程度追従出来る点が挙げられます。
しかし、利点ばかりではありません。
台風などによる強風に対しては重量が軽い分弱く、風の煽りを受けて屋根材が飛ばされてしまう恐れがあります。
また、薄くて軽い素材なので、雨が金属屋根にあたると音が伝わりやすいという弱点もあるので、
それらのことへの十分な対策も必要です。