屋根の形

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

 屋根の形は大きく分けて、切妻と寄棟とに分かれます。
 切妻の屋根は、図のように勾配屋根がふたつ合わさって、三角形を形作るものです。寄棟は四方からせりあがった形をとっていて、生活空間を覆うように造られます。アメリカのフランク・ロイド・ライトという建築家(旧帝国ホテルの設計でも有名です)は、この形を好み、住宅の多くをこの屋根のスタイルで造りました。切妻の屋根は世界遺産の白川郷に見られるように単純な形をしています。
 埴輪などでも箱型住居としてこのような形のものが見られます。切妻の屋根は妻部分が大きく外壁を見せていて外部に窓を造ったり(白川郷にありますよね)して、内部の空間に光を取り入れたりする設計ができます。また小屋裏を造る際にも作りやすい形です。しかし外壁を多く見せることになるため、周囲の外壁を保護するという観点からは少し問題もあります。寄棟は周囲の外壁を同じように保護できる形ですが、小屋裏収納を造るのはちょっと難ありということになります。
 屋根の勾配という観点からみてみると、切妻は6寸勾配(6/10)くらいのものが美しいですが、寄棟のタイプは勾配がもう少し緩いものの方(3.5寸あるいは3寸)が美しく、納まりもよいです。緩い勾配は当然小屋裏の空間は小さいものになりますので、小屋裏収納が作りにくいということになるわけです。
 切妻のタイプは玄関の位置によって、妻入り、平入りなどと言うことがあります。
 屋根形状は、このほかにも片流れなどもありますね。これはかなりモダンな感じがするものです。大雑把に言って、切妻は和風の感じ、寄棟は洋風の感じといえるでしょうか。これらのことは、ごく平均的な感じを述べたもので、その建物によって最もふさわしいものを選択しなければなりません。都心部などでは各種の形態規制(北側斜線や道路斜線等々)によって屋根をどのようにするかというのは設計の大事なポイントとなります。