束石

ユーザー 芦田成人 建築設計事務所 蘆田 成人 の写真

束は床構造の一部を成す大引などを受けるための垂直部材です。
その束を載せる石を「束石」と呼びます。
木材である束を直接、地面に接するように置くと水分を吸収しやすく、蟻害にも遭い易くなります。
そのために地面を固め、その上に束石を固定し束を載せます。

昔は自然石を束石として採用することもありましたが、後年工業製品である束石が販売され、安定した形状と価格の明朗さによって後者が普及したように思います。

しかし、束石と大引との間の距離が一定でないこともあり、束は現場で一カ所ずつ長さを測り、現場で長さを調整していました。この作業は建物が大きくなればなるほど結構、手間暇が掛かります。

その労力を軽減するための材料として、鋼製束やプラスチック製の束が販売されるようになりました。これらの材はネジで材自体の長さを調整できるようになっていて、とても便利であるため現場でもかなり普及し、束石に取って代わったと言っても過言ではありません。

しかし、現在でも束石を採用する個所はあります。
縁側の柱を受けるのに自然石の束石を採用したり、東屋や、古民家の柱を受けるために採用したりと完全に無くなった訳ではありません。