旗竿地のメリット

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

「旗竿地(はたざおち)」、または「敷地延長」略して「しきえん」ということもありますが、間口の狭いまるで竿のようなアプローチの奥まった先に旗のような土地をこのように呼びます。 

広い敷地でも道路に面している部分が少なく奥行きのある土地を分割する場合に、このような「旗竿地」をよく見かけます。
この時、道路と接する竿部分の長さは、建築基準法上少なくとも2メートル以上必要ですが、多くの場合2.5メートル以上は確保されています。
それは車を置くスペース、つまりカーポートとしての役割りを兼ねていて、一般的には駐車スペースの幅は2.5メートル以上必要だからです。 

不動産的価値から言うと、旗竿地はほとんど土地の四方を隣家に囲まれていて、しかも敷地形状からも上下水道やガス、電気などといったインフラ設備の引き込み距離が長く、その分余計に建設コストがかかってしまうので、敷地条件としてはあまり良い条件の土地ではないと思われる方が多いかも知れません。 

しかし、旗竿地にもメリットはあります。
土地の価格は決して高くはなく、むしろ地元相場よりも安いことが多いです。
間口の狭い竿の部分に何も建てなければ、道路斜線制限を考慮する必要がほとんどなく、北側斜線制限のみ影響を受けることになります。
しかも、道路から奥まったところに玄関を配置すれば、むしろ防犯的にも優れている土地であるとも言えます。
自家用車をお持ちでない方には、細長い竿状部分の土地を玄関アプローチとして積極的に利用した外構デザインも色々と工夫が出来るのでお薦めです。

旗竿地でプランニングの上で工夫する点と言えば、水廻り設備を出来るだけ道路から近い場所に配置することにより、インフラ設備の距離を短くして建設コストを抑えることです。
また、周囲四方には隣家が建っていますので、それらも十分考慮に入れたプランづくりにより採光と通風を確保することも必要でしょう。 

したがって、限られた予算であるならば、上物である住宅本体に予算配分の割合を大きくして地元相場よりも土地の値段が安い旗竿地を候補地として考える選択肢もメリットのひとつではないでしょうか。