地中熱ヒートポンプ
地中熱ヒートポンプという言葉はまだあまりよく知られていません。要は地中の熱を利用したヒートポンプということなのですが、このヒートポンプという言葉もよく理解できませんよね。
話は変わりますが、井戸水を汲み上げるのに昔は手押しのポンプを利用していましたよね。低いところから高いところに水を移動させる装置です。これは少ない力で大きな効果を得る方法であるわけです。
で、ヒートポンプですがこの場合は水ではなく、ヒートすなわち熱ですね。これをポンプのように移動させることなのです。皆さんよくご存じの家庭用エアコンでもこのヒートポンプにより暖冷房をしているわけです。長いパイプの中に冷媒ガスというものを入れて、これを電気の力を利用して圧縮して中のガスを液体にし、膨張弁というもので液体を気体にして、冷媒ガスの気体から液体になるときの熱交換作用を利用して空調を行う(冷房と暖房とではこの冷媒ガスの進行方向を逆にしています)のですが、この場合に冷媒ガスに熱を与えるものが大気なのですが、この大気の代わりに地中の熱を利用しようというものが地中熱ヒートポンプというわけです。電気で直接熱を発する電熱線のようなものを使うよりは、圧縮するだけの小さいエネルギーで大きな効果をあげるという便利なヒートポンプには当然利用する熱がないといけません。この熱が家庭用エアコンなどでは外気ということなのですが、これはかなり温度が変動します。必要な冷媒ガスの温度をつくるのにはこの外気の温度との差が大きければ、より大きなエネルギーが必要になります。そこで安定した温度の地中の熱を利用することが考えられました。地中はその深さにもよりますが100mから200mくらいの場合約15度くらいといわれています。この温度ですと、ヒートポンプの効率がよくなるというわけです。というわけで、地中熱利用の場合には深く穴を掘ってそこに冷媒ガスの配管を通さなければいけませんので、この掘削費用が結構かかるということになります。実際の計画の際には初期費用と維持費用とをよく試算して決定されることを願っております。