家を買うこと・創ること・創り方...社会の流れから

ユーザー 中川龍吾建築設計事務所 中川龍吾 の写真

かつて日本では、家は「建てる」という表現が当然だったように思います。
私の世代より上の年代の話ですが、家を持つのがひとつのステータスであった頃と、それ以前の表現だと思います。

その後、おそらくはバブルの頃からでしょうか。
「家を買う」という表現の方が一般的になったように思います。
建築費用というよりも購入費用と表現される方も多いのではないでしょうか。
分譲住宅とかハウスメーカーによる住宅が増えてきたのもおそらくこのあたりかと思います。

現在もその傾向は続いていますが、一方で建築家が手がける住宅も増えてきていて、設計事務所が手がけた住宅を紹介する媒体も多くなりました。
そのようなことから最近はハウスメーカーが建築家とのコラボレーションをうたい文句にするような傾向も現れてきています。
(もちろん主導はメーカー側でしょう)

一方でそのような中にあって、マンション等の杭や免震装置の不正が社会問題となり、最近では大和ハウスやレオパレスの違法行為が発覚しました。
会社存続の危機とまでいわれるものです。
これらのほとんどは建物の見えない部分の不正、手抜き等であり、利益最優先による確信犯的な行為として疑うのは私だけではないと思います。
大手だから安心といった神話はすっかり崩れたようにも思われるものです。
(これからはマンションや分譲住宅であっても、工事の履歴などを公開または閲覧できるようにすることが求められるかもしれませんね)

基本的には、設計と施工をひとつの会社で行う事、設計監理も施工管理もその中で行われる事自体に無理があるように思えてなりません。

家づくりを考える場合、まずは住宅展示場に行くという人はまだ多いと思います。
また間取りは自分で考えることができると考える人も多いと思います。
しかし工事が適切に行われているか、工事費が見積書の内容と整合しているかといった事をチェックできる建て主さんはまずいないでしょう。
(プロでも難しいものです)

公共施設では多くの場合、施工会社の所属ではない設計監理者或いは監督員が何らかの形で工事のチェックを行います。
上記のような事からは、今後の家づくりは、建て主さんと施工会社の2者だけの関係で建築或いは売買されるのではなく、設計監理者或いはその間に入る資格を持った専門家(インスペクターであったりアドバイザーであったり)が必要になるように思います。

家づくりはほとんどの人にとっては一生に一度のものです。
住まいに合わせて生活するというような、既製品を購入するようなものではないはずのものですし、既製品のように工場で品質検査を受けることができるようなものではありません。

これからは
自分に合わせて創る
造る側が工事の内容を公開する
創るのに当たっては第3者的な専門家を加える
という流れが安心できる家づくりの為に一般化すべきと思いますが、
いかがでしょう。
(期待も込めて...)