京町家条例と京町家の定義

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

先日、京都に住む叔父から送られてきた京町家に関する資料の中に、京都市が発行している
<京町家を未来へ>というタイトルの京町家条例のあらましをまとめた冊子がありました。 
 
その冊子によると、近年町家が老朽化のため取り壊されるケースが増えている一方で、京町家が見直されて居住や店舗としての需要が高まっているようです。 
 
ただし、ひとくちに「京町家」と言っても間口が狭く奥行きがある古い家がすべて京町家というわけではありません。 
 
この冊子によると、京都市が制定する京町家条例における「京町家」の定義というものがきちんと掲げられていて、必須条件としては
・昭和25年以前に建築されていること
・木造建築物であること
・「伝統軸組構法」や「伝統構法」と呼ばれる伝統的な構造であること
・3階建て以下であること
・一戸建てあるいは長屋建てであること
・平入りの屋根であること
があります。 
 
上記のなかで特徴的な条件としては、最後の平入りの屋根でしょう。
ちなみに「平入りの屋根」とは、建物の出入口が屋根の棟と並行する側にあるもののことを言います。 
 
これらの必須条件とさらに下記のいずれか1つ以上を有する建築物が「京町家」と呼ばれるそうです。
・通り庭(道に面した出入口から続く細長い形状の土間)
・火袋(通り庭上部の吹き抜け部分)
・坪庭または奥庭
・通り庇(道に沿って設けられた軒)
・格子(伝統的な虫籠窓や京格子など)
・隣地に接する外壁または高塀 
 
私自身、何度も京都を訪れて京町家を見てきましたが、京町家という建物がこのような定義付けをされていたとは知りませんでした。