堀車庫

ユーザー 青井俊季建築設計事務所 青井 俊季 の写真

堀車庫または堀込車庫というのは、事例写真のように敷地が道路よりも高い場合に、敷地の一部を掘り込んでつくられた車庫のことをいいます。
概ね3m前後の高低差があれば、車庫全体を埋めることができて、車庫の屋根を防水して土を載せれば、庭と続けて植物を植えたりすることも可能です。
建築基準法では地下部分の面積は建築面積には含まれず、さらに延べ床面積の5分の1までは、容積率算定の床面積から除外できるという緩和規定があります。
堀車庫の躯体は、壁が大きな土圧を受けるため、多くの場合は鉄筋コンクリート造で造られます。また、敷地レベルから見れば3mも深く掘り下げられるので、屋根はもちろん、壁にも防水性能が求められます。

堀車庫事例

この事例では、車庫だけでなく家の一部も同じように掘り下げて、玄関と内部階段、それにご主人の書斎と書庫を設けています。
地下階までを鉄筋コンクリート造でつくり、その上に木造の2階建てを載せた構造になっています。
車庫と同じレベルに玄関を設けているため、車を車庫に入れた後、雨に濡れずに玄関から家に入れるというメリットがあります。

玄関

玄関の内観写真です。
道路と同じレベルなので、道路側には採光の窓を設けることができます。また、植木を植えて玄関周りに潤いを与えています。

玄関ホール

玄関ホールです。
この家はバリアフリー住宅としているため、階段の脇に住宅用エレベーターの乗り場があります。

打合せコーナー

医師であるご主人の書斎入口に設けた接客コーナーです。
仕事関係の来客は、プライベートな上階に通すことなく、このスペースで用事を済ませることができます。

光の井戸

車庫脇の屋根の一部をくりぬいて、光を落とし、暗くなりがちな堀車庫の奥を明るくすると同時に、書斎のデスク前の窓からの採光にも利用しています。

書庫

書斎の奥は約2万冊の本を所蔵できる書庫になっています。重量のある本を沢山収納するには、地下の書庫が構造的に有利で、車庫の車からの搬出入も楽にできるというメリットがあります。
 
このように道路と敷地に大きな高低差がある場合は、堀車庫とすることで、駐車場を設けることができます。
また、堀車庫を単体として設置するのではなく、コストはかかるものの、玄関や地下室を車庫と共に地下に設けることによって、機能的で快適な家をつくることができます。