旗竿地の日当たり~採光条件のよくない敷地に「明るく風通しのよい家」を創る~

ユーザー 中川龍吾建築設計事務所 中川龍吾 の写真

住宅の設計をしている中で、「日射しの入る家」「明るく風通しのよい家」というご要望は、ほとんどの建て主さんがまず第一に挙げる要望事項です。

4方が隣家に囲まれた旗竿地、北側道路で南・東・西面が隣家の敷地、南面に大きな建物が建つ敷地などは、よほど広い敷地でなければ、敷地自体に直接陽が当たる時間や場所が少ないもので、特に都市部近郊の住宅密集地等では、充分な日射しが入る家とするのは難しいものです。

こちらでお受けする建築相談でも、そのような敷地において、日射しの入る家とするにはどのようにしたらよいかというお話は多いものです。

敷地の南側に庭を設けて、家の南側に吹抜けを設けることにより、自然光を採り入れるようにした案をお持ちになり、「この案で大丈夫でしょうか」とか、不安に感じられて「解決策や改善策はあるでしょうか」というお話もよくお受けするものです。

ハウスメーカーや工務店さんで家づくりのご計画をスタートされている場合、旗竿地等の日当たり条件のよくない敷地において提示される案は、その多くが上記のスタイルのようです。

しかしほとんどの案では、吹抜けの南北方向の奥行きが浅かったり、南庭の南北方向の奥行きが少なすぎて、残念ながら充分な採光が期待できないものと思われるものです。
また、家の南側の部屋に日射しは入るものの、家の中央部には明るさが届かずに薄暗いスペースとなっていたり、吹抜けに面するサッシやガラスのメンテナンスや清掃の点で問題のあるものであったりと、マイナス面が多いものであったりするケースも多いものです。

また、日常の居住空間への採光を優先するため、リビングやダイニング等、日常を過ごす場所を2階に設けたり、或いは3階建とするといった案がありますが、生活面でのデメリットも多いものですので、全ての家で採用できるものではありません。

そこで、旗在地などの採光条件よくない敷地にあっても、日射しが降りそそぐ明るい家とする為に、私がよく用いている手法を3タイプ(+α)ご紹介します。
3タイプとも私の事務所では「天空光の家」と名付けている家です。

(詳しくは以下のHPで図面やイラスト入りで説明をしていますので、ご興味のある方はご覧になってみてください)。
https://www.atelier-n.com/style/section/

<タイプ1=光庭形式の家>
家の中央部に空からの光を直接採り入れる吹抜形式の光庭(中庭)を設け、そこから庭に面する各室に自然光を採り込むようにするスタイルです。
(実例としては以下のHP「市ヶ谷の家」「羽根木の家」をご覧ください)
https://www.atelier-n.com/works/

<タイプ2=光階段形式の家>
家の中央部に階段室を設け、階段を光や風を通す構造・仕上としてこの階段室の屋根に大型のトップライトを設けることにより、家全体に日射しを導き、ここから換気をはかるものです。
吹抜を設ける面積的な余裕がない住宅で有効な手法です。
(実例としては「新井薬師の家」をご覧ください)
https://www.atelier-n.com/works/ 

<タイプ3=トップライトと吹抜の家>
最も採用することが多い採光スタイルです。
1階のリビングやダイニングなどの上部に吹抜を設け、その上部(2階の屋根)に大型のトップライトを設けることにより、1階だけでなくこの吹抜に面する2階の諸室の全てにその光を導くという手法です。
また、このトップライトを開閉式とすることで、自然な空気の対流(煙突効果による自然な空気の流れ)が生まれ、家中の自然な換気が可能となります。
(実例としては「宮坂の家」「杉並の家」をご覧ください。杉並の家は旗竿地に建つ住宅です)
https://www.atelier-n.com/works/

(その他、天空光の家としてトップライトからの光を大きく採り入れた実例としては、
「練馬の家」「田端の家」「善福寺の家」という住宅があります)

またハイサイドライトを大きく採り入れるというスタイルもあります。
その実例としては「関町の家」という住宅があります。

以上、旗竿地等の採光条件がよくない敷地に「明るく風通しのよい家」を創る手法をご紹介させて頂きました。
家づくりのご参考になりましたら幸いです。 

  
中川龍吾/中川龍吾建築設計事務所
東京都練馬区関町南4-8-13
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URL:https://www.atelier-n.com/