大谷石

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 大谷石についてお話ししましょう。
 大谷石の塀は昔はよく見かけましたが、最近はあまり見かけません。おそらく地震などには崩れやすいということが関係しているのでしょう。ほとんどが鉄筋などで補強することなしに単に積んでいるだけのものが多かったですから…。
 大谷石を使った建築では、フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテルが真っ先に思い出されます。大谷石の柔らかく加工しやすいという性質を利用して、細かい細工を施した意匠は素晴らしいものでした。色はうすい緑色で、日本の栃木県大谷町一帯で採掘されるもので、ここには大谷資料館があり大谷石の特徴や歴史などが紹介されています。
 たぶん、海外にはこのような石は少ないのではないかと思います。やわらかいですからたとえば外部の床などに使うと比較的摩耗しやすいかもしれません。しかしそのしっとりとした風合いは捨てがたい味わいを持っています。石そのものに空隙があるので石のなかでは比較的吸音性も高く、その性質を利用した空間づくりも期待できます。