鉄骨造の耐用年数を延ばすには

ユーザー 株式会社クレアール 井上英勝 の写真

建物の耐用年数は、「税務上の不動産価値としての観方」と「技術上の建築構造的耐用としての観方」があると考えます。鉄骨構造の場合、用途によっては異なりますが、前者の税務上では約27~35年としております。後者の技術上では、約30年としているかと思います。これらは机上の理論であって、そもそも建物の維持管理状況によって大きく異なります。

鉄骨造の構造躯体は鉄骨鋼材で、大敵のは「錆び」と「火災」です。
一般に、躯体としての鉄骨鋼材は外部に露出するのではなく内部に隠ぺいされた状態を維持しているものです。外壁や屋根といった衣服を身に着けているといってもよいかと思います。鉄骨鋼材に雨水などの水分や酸性の物質に接触すると錆びが発生します。また火災発生時の高温状態で、鉄骨鋼材に変形が起きると接続部や脆弱部分の破壊や破断が起きてしまいます。鉄骨鋼材は、まず連結部などの質量が小さい部材から脆弱になっていきます。
では鉄骨造の耐用年数を維持するためには、次のことに注意してください。
まず漏水対策としての外壁屋根の防水や塗装の定期的な改修施工を行うこと。
外壁面の窓周りや外壁の目地部分にあるコーキングが劣化しますので、打ち直し・打ち替えを行うことが必要です。屋根防水でも表面の素材が劣化しますので、防水表面のトップコート上塗りなど(状況によっては改修方法は異なります)を必要とします。すでに漏水などが確認できている場合には早急に対応をなさることをお勧めいたします。錆び腐食が始まると着実に進行してしまいます。
また火災対策ですが、建物としては建築基準法により耐火建築物としての条件が充実しておりますので問題無いかと思います。基本中の基本ですが、火災を起こさないことです。
鉄骨造の耐用年数を延ばすには、日々の現況確認などの管理を怠らないことです。何か事象を発見したならば、早急に建設会社様や建築士に相談することが最も大切なことと考えます。

新築の鉄骨造において、鉄骨工場で材料検査を行いました。

新築の鉄骨造において、鉄骨工場で材料検査を行いました。