災害に備える準備(戸建て編)

ユーザー 株式会社クレアール 井上英勝 の写真

地球環境の変化に伴い日本列島が、昔の温暖で四季の移ろいが美しい気候で無くなってしまいました。巨大な台風の到来により、多くの家屋に暴風や河川決壊の被害が及んでしまいました。被害に遭われた方々へお見舞い申し上げます。

戸建てという個の建物において、インフラの供給は敷地境界(道路境界)から内側はすべて個人の責任となります。建物とインフラ設備について、ポイントをまとめてみます。

電気の場合、道路の電柱から建物への引き込み点までは電力会社の管理となります。太陽光発電設備を設置している建物では、スマートメーターなどから電力の売電・買電が確認できます。一般に電力会社からの電力供給(連係)が停止すると建物内部の電源は全く機能しません。太陽光発電設備と蓄電池の併用が整っていると使用時間に限りはありますが、自家発電の電力から冷蔵庫や照明などの電源を確保することが出来ます。近隣の河川などの浸水などが考えられる場合には、蓄電池設備などの基礎を立ち上げておくことも有効であると考えます。

水道の場合、水道局からの水圧で建物への水供給が出来る場合には、停電があってもそのまま使用することが出来ます。しかし揚水ポンプなどを使用している環境の場合には停電の際には水を使用することが出来ません。下水排水の逆流などが取り沙汰されるようになりましたが、一般に逆止弁たるものがついていないので、排水口やトイレ便器からの逆流が無いとは限りません。道路での埋設給水管が破裂した際には上水(給水)が使用できませんので、2週間分の雑水や飲料水は保管できる準備を整えて頂くことを推奨します。ペットボトルやポリタンク、雨水貯留タンクなどがその役割を果たしてくれるでしょう。

ガスの場合、都市ガスでは、道路埋設配管の破断が無くても一時は点検などの作業により供給がストップすることも視野に入れておかなければなりません。またプロパンガスでは、個別での供給のため使用可能かと思います。それでも、カセットコンロなどの常備は欠かせないとお考え下さい。

インフラ対策の事前準備には、以下のことを想定してみてください。
電気対策として、太陽光発電設備と蓄電池設備。水対策として、雨水貯留タンク及び浄化設備。ガス対策としてカセットボンベや太陽熱による集熱器具など。暖をとるためには灯油式ストーブ、断熱用にアルミシートや梱包養生材を確保しておくことも有効です。

それでは建物の事前準備はどのようにすればよいか。

電気対策として、家庭用分電盤の近くに非常用分電盤を設置し、自家発電用の太陽光発電パネル数枚(そもそも屋根などに太陽光発電設備が設置されている場合を除きます)と蓄電池を準備。電気利用の優先順位を決めておくことが必要と考えます。冷蔵庫(冷凍庫)、揚水ポンプ(設置されていれば)、一部の照明器具や充電可能なコンセントの位置決めなどです。
水対策として砂充填した土嚢袋を10~20袋、防水性のある粘着テープ、ベニヤ板、シリコンコーキング10本程度が考えられます。
そして建物そのものへの準備は、窓ガラスなどへの暴風対策としてガムテープ、ベニヤ板、角材(45×36程度)、ブルーシート、木工ビス(45、65、90㎜程の長さ)インパクトドライバー(のようなもの)があると完璧です。

これではプロの装備と思われるかと。その通りです、各建物に、プロの装備に近いものを用意しておくことがこれからの防災対策となるのです。自分の家は自分で守る、自分で補強する、その心構えと準備が必要な時代となっていることを自覚してみてください。