災害に備える準備(共同住宅編)
先日は戸建て編を投稿致しました。今回は共同住宅における災害対策に関するポイントをまとめてみたいと思います。災害に備えるという事は、如何なる災害も想定することが重要です。
台風19号により河川の堤防決壊が起きてしまいました。一部の共同住宅では、床上1000mm以上も水位が上がり、電気室に浸水、電源設備機能が停止し電力の供給が止まってしまいました。各住戸への電力供給が止まるだけでなく、共用部分の電源も停止します。これにより受水槽から各住戸への給水ポンプが機能せず、水の使用も出来なくなってしまいました。
一般的に共同住宅の場合には、避難階とする1階に共用部分のエントランスホールや集合ポスト、管理人室等があり、屋上に電気室(キュービクル)が設置されています。大規模な共同住宅になりますと電気室(キュービクル)は地下や1階部分または敷地内の外構部分に設置されている事が多いと思います。
水害から電気設備の機能を守ることが最も重要であると考えます。エレベーター、揚水ポンプ、避難経路の照明器具などは確実に機能させる必要があります。
まず電気室を2階部分に設置することでこれらの条件をクリアできると思います。ポーチ(庇)の上部を電気室入口のステージに見立てる事で、エントランスホールの上部に共用部分を設ける事ができると考えます。もちろん見た目やレンタブル効率も考慮しなければいけませんが、災害対策を優先にした場合としての考え方です。
次に非常用電源の確保と居住者専用の緊急対応室(管理人室)の設置。屋上に太陽光発電設備と蓄電池を設置し、自家消費用にシステムを構築します。最低限の動力電源(揚水ポンプと一時利用のエレベーター運転用動力電源)と緊急対応室の照明器具、通信設備用電源、携帯電話などの充電コンセントに活用を限定すること。
水害と電源確保の問題は、今後の計画設計において検討しなければならない事項になることと考えます。住民の皆様の安全を守るためには、共同住宅としてのインフラ機能を確実に保全することが必須です。共同住宅の設計において、販売価格や利益重視ばかりでなく、住まう住民の命を守ることを考慮し優先して検討して頂きたいと思います。