住宅密集地の騒音対策

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

 さて、表題の件について少しお話します。住宅密集地という括りでの対策ということですので、まず住宅密集地での特異性について考えなくてはなりませんね。いろいろと考えてみましたが、ひとつは、まずこういう地域は敷地が小さいことがあげられます。となると住宅も敷地境界ぎりぎりに建てられていて、隣家と接近しているという状況があります。それと、道路が狭くて場所によってはそこに比較的多くの車が侵入してくるということもありますね。車が入ってこないような場所ですと、あまり多くないですが子供たちの格好の遊び場所になっていることもあります。(昔は、道路で遊ぶ子供たちが多かったですが、いまはほとんど見かけませんね)特に最近は廃品回収の民間の車が大きな拡声器音で回っていることが多く、病人がいる家ではとても気になることがあります。このような車は大体遠方から来る事が多く、なにか苦情を避けるためのような気がしてしまいます。
 といった状況を考えると、外部からの騒音発生源は空調機室外機、車、子供たちの声等々でしょう。内部から外へのものは生活音の音漏れ(特に水に関連するもの)や音楽やテレビあるいは楽器練習などの音が外に漏れてくるということもあります。
 これらの音に対して対策をとるということになると、基本的には開口部に工夫を凝らすということになります。現在の住宅ではほとんどがアルミサッシを使っていますので、これの遮音性能の高いものを使う、または2重サッシにする、雨戸のようなものをつけるといったことが考えられます。それと換気装置についても防音タイプのものにすることも考えられるでしょう。外壁や屋根については使われる素材を慎重に選んで設計することが必要になります。構造素材がコンクリートですと比較的防音について性能がよいのですが、木造ですと使われている材料が重量の軽いものが多いので、比較的音は通過しやすいということになります。ですので、重量のある石膏ボードを2枚張りにするなどの配慮も必要かもしれません。躯体内に遮音用のシート(多くは特殊なゴムや鉛)を使ったり、窓にかけるカーテンに遮音防音のものを使うなどといったことも考慮すべき点かと思います。敷地を囲う塀を作る場合には、植栽等で造るとこれも音に対して有効な対策になりますし、環境もよくなるという利点もあります。
 いずれにしても、建築費に影響していくことですので、どの程度までにするかという決断は悩みの多い事柄になります。基本的には、室内の音を外部にはなるべく出さないようにしていくという気づかいが各ご家庭で必要なのでしょうが、あまり神経質に考えるとそれがストレスになるということもありますので、何事もほどほどに…でしょう。