にじり口から思うこと

ユーザー 加藤哲也建築設計事務所 加藤哲也 の写真

茶室のにじり口は利休さんが考えたということ。 
にじり口の戸は雨戸を切ってつくられたということ。 
現存する千利休作の茶室は妙喜庵待庵のみであるということ。 
待庵は山崎の合戦のときに建てられているということ。 
ここから連想ゲームのように想像してみた。 
にじり口の戸の板は3枚縦に並べての張られている。 
よくみるとその3枚、同じ巾ではない。
(下の写真は待庵ではありません。)

きっと利休は秀吉から 
「おい、あした茶を点ててくれ」 
と頼まれて、いそいでつくったのが待庵。 
そんなことをにじり口のかたちから想像してしまいます。 
そこらにあった手頃な家をちょっと拝借して、 
頭に血が上っている秀吉に対して 
ちょっといつもと趣のちがう入り口を考えてみた。 
雨戸の入ったところが入り口、このままじゃつまらんな。 
ちょっと小さくして刀を置かなければ入れなくしてしまおう、危ないからな。 
ついでに部屋も小さくしてしまおう。 

雨戸を外してできた残りの開口部は窓に。 
その名残が今に続き、にじり口の建具の板の張り方はあの通り。 
自由な発想の利休さんのあとに続く人たちは、 
とっても不自由にしているようにみえるね。 
残す型とどっちでもいい型、 
それを決めていくのはだれなのかな。