ペットと床タイル

ユーザー ARKSTUDIO一級建築士事務所 茶之木宏次+羽木みどり の写真

ペット、特に犬と室内で一緒に暮らす時に、一番考えないといけないのは、床の素材だと思います。
人は屋外では靴を履き、室内ではその靴を脱いで生活しますが、犬は内も外も裸足のままです。散歩から帰ってくれば、足を拭いたり、洗ったりしますが、それでも床は汚れやすくなります。
また、その足にはとがった長いツメが生えていますが、そのツメは猫と違って収納できないので、そのツメにより、床が傷つきやすくなります。
それから、表面を樹脂コーティングしたフローリングなどの滑りやすい床材だと、犬が身体を支えるために、股関節や後肢に大きな負担が掛かり、股関節の病気や脱臼を起こします。
そして、犬には1年に2回程度、換毛期と呼ばれる毛が大量に抜ける時期があります。そうなるとそこら中にふわふわと毛が舞い散りますので、さっと掃除できるような床材を選んでおくことも大切です。
以上のことから、床には、あまり汚れが気にならなくて、滑りにくく、痛みにくく、お掃除しやすい素材が求められます。

床材に表面が平滑でないタイルを選べば、滑りにくく、耐久性も高く、強度があり傷つきにくく、汚れたらすぐ水拭きもでき掃除も簡単です。
また、床暖房と組み合わせれば、夏は冷たく冬は暖かい環境になります。

私どもの設計した、犬と一緒に暮らす家では、お客様にも入っていただくリビングとは別に、もう一つ、犬と家族が一緒に過ごすための第2のリビングを食堂の横に作りました。

その部屋の外には、半外部空間となる屋根のあるデッキを設け、玄関や他の部屋を通らず、直接デッキから入れるように、掃き出し窓を設けました。
床はモルタルの上にタイルを貼り、水洗いが出来るようにしました。
モルタルの中には床暖房のチューブも埋め込んであります。
また、天井に開閉できる電動のトップライトを設け、リモコンで開閉することで、室内空気をより輩出しやすくし、犬の匂いが室内に籠らないようにいたしました。

こうしたことで、より快適でくつろげる空間になり、ご家族と犬たちが楽しく暮らしています。